どのように制御する?ステッピングモータの速度制御の方法

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2021年2月18日

ステッピングモータはパルス信号によって制御されているモータです。一定の回転角度で断続的に軸が回転するモータですが、どのように速度を制御するのでしょうか。ここでは、ステッピングモータの速度制御方法についてわかりやすく説明します。

ステッピングモータとは

ステッピングモータは、モータ軸が一定の回転角度で断続的に回転するモータです。イメージとしては、アナログ時計の秒針の動きを思い浮かべるといいでしょう。ステッピングモータは、その回転角度や回転速度をパルス信号によって簡単に、正確に制御できるという特徴があります。この特徴を利用して、さまざまな装置や電子機器に採用されています。

ステッピングモータについてさらに詳しく知りたい場合は、下記ページで解説していますのでご確認ください。

ステッピングモータの長所と短所

ステッピングモータには、主に次のような特徴があります。

長所
  • オープンループ制御で正確な位置決めが可能
  • 回転角度がデジタル入力によるパルス数に比例するため、位置制御が簡単
  • 低速での回転が可能
  • 停止時の自己保持力に優れる

軸の回転位置検出用のセンサが不要で、簡単に正確な位置決めができるというのは、ステッピングモータの大きなメリットと言えるでしょう。

短所
  • 高速、急加減速運転など想定外の負荷変動により脱調しやすい
  • 振動や騒音が出やすい
  • 位置決め保持(ロータ停止固定)時には電流が流れ続けるため、電力消費が多く発熱が大きい

シンプルな制御によってコントロール可能ですが、急な負荷変動は苦手とします。また、性質上振動や騒音が出やすいです。ただし、これらの短所は制御方法によって解消できるものであり、致命的な短所とはいえません。

ステッピングモータの制御

ステッピングモータは、基本的にオープンループでの制御が可能です。オープンループ制御とは、上位にあるコントローラからモータへ指令が一方向に伝えられる制御方式です。そのため、ステッピングモータを動かすためのセンサやフィードバックも不要でシンプルな制御ができます。

一般的なパルス列入力タイプの運転制御であれば、プログラマブルコントローラ(パルス発振器)によりパルス信号を発生させ、パルス信号をドライバへ入力させることで、駆動電流が流れてステッピングモータが動作します。

高度な制御を必要としないのであれば、コントローラ機能をドライバに内蔵したタイプを使うことも可能です。その場合は、I/Oユニットが組み込まれたプログラマブルコントローラを用いて、スタートやストップをI/O制御によってドライバへと伝達します。そして、ドライバはその伝達を受け取ってステッピングモータへ駆動電流を送ることで、ステッピングモータを動作させることが可能です。

プログラマブルコントローラからコントローラ コントローラからパルス信号をドライバへ ドライバから電流をステッピングモーターへ ドライバとステッピングモーターがステッピングモーターユニット

ステッピングモータの速度制御

先にご紹介したように、ステッピングモータはパルス信号によって制御されています。

パルス信号には周期があり、1秒あたりにパルス信号が何回発せられるのかをパルス速度(パルスレート、パルス周波数)と言い、ppsで表記されます。

ステッピングモータの回転数量はパルス数に比例しており、それによって正確な位置決めができます。なおモータの回転量は、次の計算方法で算出可能です。

モータの回転量(°)=ステップ角(°/step)✕パルス数

そして、ステッピングモータの回転速度はパルス速度に比例します。周波数が大きくなればなるほどパルス速度が早くなり、比例してステッピングモータの回転速度も早くなります。ステッピングモータの回転速度(r/min)の算出方法は、以下のとおりです。

モータの回転速度(r/min)=ステップ角(°/step)÷360(°)✕パルス速度(Hz)✕60

ステッピングモータの魅力は、モータの回転をパルス周波数と完全に同期できることです。しかし、過負荷や急な速度の変化が生じると入力パルス信号とモータの回転の同期が失われる脱調現象が生じます。

ステッピングモータの運動パターンには、自起動運転パターンと加減速運転パターンの2種類があります。自起動運転パターンは瞬時に起動と停止をさせるタイプです。自起動領域内でのみ可能であり、矩形駆動とも呼ばれています。加速トルクが出せる場合は、この運転パターンを利用すると運転パルス数を一定にすることができるためいたってシンプルです。

加速トルクが出せない場合は脱調してしまうことから、加減速運転パターンを採用しなければなりません。加速と減速時間を設けてパルス速度を徐々に変化させる方法です。台形駆動とも呼ばれており、このパターンであれば自起動領域を超えてスルー領域まで使用可能となります。ただし、急激な加減速をすると脱調することがあるので、モータの回転速度、つまりパルス速度をしっかりと把握して調整する必要があります。

自起動運転パターン(短形駆動)の図 自起動運転パターン(短形駆動)

加減速運転パターン(台形駆動)の図 加減速運転パターン(台形駆動)

ステッピングモータの回転速度はパルス信号で制御しよう

ステッピングモータは軸が一定の回転角度で断続的に回転するモータです。オープンループでの制御が可能で、コントローラでパルス信号を発生させ、それをドライバへ入力させることで、駆動電流が流れてステッピングモータが動作します。またステッピングモータはパルス信号によって制御されており、パルス速度に比例してモータの回転速度が速くなります。モータの速度制御は脱調などを防ぐためにも重要なポイントなので、しっかりと制御方法を把握しておく必要があります。

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