アクチュエータとは
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2020年6月10日
アクチュエータとは、動力源と機構部品を組み合わせて、機械的な動作を行う装置のことであり、例えばモータ (電動機) もその一種です。アクチュエータを用いることで動作の際に加える力や速度、角度などを自由に制御できるため、いわゆるメカトロニクス※1において中心的な役割を果たします。
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※1機械工学 (Mechanics) と電子工学 (Electronics) を組み合わせた技術のこと。
アクチュエータの仕組み
アクチュエータは、モータと駆動機構 (機械要素) の組み合わせによって動作します。モータの回転力を駆動機構に伝えることで、回転運動だけでなく直線運動やらせん運動等に変換することが可能であり、さまざまな装置の駆動源となります。
アクチュエータを用いることで、モータなどの回転運動を次のようなさまざまな運動に変換することが可能です。
- 直線運動
- 直線に沿った動きであり、自動ドアの開閉などに使われます。
- 揺動運動
- 一定の角度で往復する運動であり、ロボットの関節や自動車のスタビライザなどに使われます。
- 直交運動
- 直角に交わる2つの直線運動を組み合わせた動きであり、ビルの免震装置などに使われます。
- 回転運動
- ロボットの関節など、360度以上の回転を行うときの動きです。
- らせん運動
- 直線運動と回転運動を組み合わせた動きです。
アクチュエータの歴史
水車や風車もアクチュエータの一種と考えることができ、その意味では、古代まで歴史を遡ることができます。
とはいえ、今日的な意味でのアクチュエータが登場したのは産業革命以降です。蒸気機関が普及し、さらにさまざまな内燃機関が登場したことにより、機械の駆動機構としてさまざまなアクチュエータが開発されました。
19世紀には水圧を利用したプレス装置やエレベータ、跳ね橋などが登場し、さらに空気圧の利用も進み、鉄道車両のエアブレーキや自動ドアの開閉装置に使われました。そして20世紀に入ると、油圧の利用がはじまり、1979年には世界で初めて電動アクチュエータを用いた車椅子が発明されたことで、さらにさまざまな分野に応用されるようになりました。
そして今日では、小型モータを利用した電動アクチュエータが普及し、ロボットや自動車、家電などのさまざまな製品に組み込まれて、産業や社会、人々の暮らしを支えています。
アクチュエータの種類
アクチュエータにはさまざまな種類がありますが、動力源の違いによって次のように分類することができます。
電気
電気を動力源とするアクチュエータであり、モータが代表的です。小型化が容易なことから、多様な製品に組み込まれています。
- サーボモータ
- 位置や速度や回転力 (トルク) を自由に制御できます。
- ステッピングモータ
- 一定のごく小さな角度で正確に回転させることができます。
- リニアモータ
- モータの原理を用いて直線運動を行います。
油圧
油圧を動力源とするアクチュエータです。大きなパワーを生み出せることから、建設機械や大型装置などで使われます。
- 油圧シリンダ
- 油圧によってシリンダ内のピストンを上下させます。
- 油圧モータ
- 油圧によって回転運動を得ます。
空気圧
高圧空気によって動作するアクチュエータです。構造が簡単なだけでなく、柔らかな動作が可能です。
- 空気圧シリンダ
- 空気圧によってシリンダ内のピストンを上下させます。
- 空気圧モータ
- 空気圧によって回転運動を得ます。
その他
- 形状記憶合金アクチュエータ
- 温度に応じて変形する特性を利用します。
- 超音波モータ
- 超音波による振動を利用します。
アクチュエータの用途
アクチュエータの用途は幅広く、さまざまな設備、機器に組み込まれて使われています。
- 自動車のワイパー
- 自動車のパワーウィンドウ
- 自動車のドアミラー
- 自動車の電動サンルーフ
- 自動車のドアロック
- ハードディスクの磁気ヘッド
- 航空機の着陸脚
- 航空機の操舵装置
- ロボットの関節
- シールドマシン
- 住宅やビルの免震装置
- リニアモーターカー
- アミューズメント施設の大型ゲーム機
- 天文台の天体望遠鏡
- 建設機械や作業車のアームなどの位置決め装置
- 医療機器に組み込まれた昇降装置
- 超音波画像診断装置
- カメラのズーム装置
- 自動販売機
- プロジェクタのマイクロミラー
ここでは、ASPINAのアクチュエータが活躍している用途を紹介しましょう。
パワーアシストスーツ
重量物の運搬や積み替え、斜面の昇降などの際に、利用者の屈伸や歩行をアシストします。ASPINAのアクチュエータはパワフルなだけでなく、軽量薄型のため利用者の作業の邪魔になりません。
アシストモビリティ
利用者に移動手段を提供します。アシスト型車椅子であれば、介助者の負担を軽減します。アクチュエータを車椅子の位置や向きの調整や、低速自走する際の駆動などに利用することができます。
簡易AGV (Auto Guided Vehicle)
運搬を目的とした自動運転車です。ASPINAのアクチュエータを搭載した4輪台車であれば、約300kg (車重含む) の積載が可能です。
ASPINAはさまざまなアクチュエータでお客様の課題を解決します
アクチュエータは高性能化や軽量薄型化が進んだことで、人の動きをアシストする機器やパワーアシストスーツ、アシスト台車、サービスロボット、AGV (無人搬送車) など、その応用分野はますます広がっています。
ASPINAではアクチュエータはもろちん、駆動回路や通信技術を一体化した独自の開発を進めています。今後のさらなる技術革新にご期待ください。
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