ブラシ付きDCモータとブラシレスDCモータにはどのような違いがある?それぞれを確認
-
自動化
-
医療・福祉
-
環境
-
車載
2020年12月2日
DCモータは、ブラシ付きDCモータとブラシレスDCモータの2種類に分けられます。ブラシ付きDCモータは整流子とブラシを備えており、ブラシレスDCモータは整流子とブラシがないかわりに電子回路を用いるDCモータです。これらにはどのような違いがあるのでしょうか。
ここでは、ブラシ付きDCモータとブラシレスDCモータの違いや、それぞれのメリット・デメリットについてご紹介します。DCモータ自体がどのようなものか詳しく知りたい場合は、下記ページで解説していますのでご確認ください。
ブラシ付き、ブラシレスDCモータの活用用途
DCモータは日常生活で使用されるような電化製品から工業用の大型プラントまで、さまざまな分野で活用されています。ブラシ付きDCモータは、模型用のモータや自動車補機用などに採用されており、モータの中でも特に幅広い需要があります。ブラシレスDCモータは、パソコンなどの記憶媒体でもあるハードディスクの部品、空調機器や住宅設備、冷蔵庫などの家電というように、多様な用途で利用されています。
使い分けは、用途はもちろんのこと、コストやメンテナンス性によっても異なってきます。価格でいえば、電子回路を必要とするブラシレスDCモータの方がブラシ付きDCモータより全体のコストが高くなりやすいです。
一方ブラシレスDCモータは、常に接触していて摩耗するブラシと整流子がないことから、寿命が長く、ブラシと整流子の接触による電気ノイズや騒音がない、というメリットがあります。そのため定期的な部品交換といったメンテナンス頻度を軽減したいときや、静音性を求めるときに採用されることが多いです。
ブラシ付きDCモータは長時間の回転により整流子とブラシが摩擦で劣化するため、ブラシレスDCモータと比較すると寿命が短くなります。できるだけ初期コストを抑えて消耗品的に交換することを検討している場合は、ブラシ付きDCモータを選択するケースもあります。
ブラシ付きDCモータとは
ブラシ付きDCモータはコイルが回転子となり、磁界内で回転し、それがブラシと接することで整流子が切り替わります。電気が流れるコイルが切り替わることで、回転子が回り続けてモータが駆動します。
ブラシ付きDCモータには、永久磁石を用いた「永久磁石界磁型モータ」と、永久磁石を使わない「電磁石界磁型モータ」の2種類があります。
「永久磁石界磁型」は電機子(ロータ)の形式により、スロット型やスロットレス型、コアレス型に細分化されます。
「電磁石界磁型」は永久磁石を使わない代わりに、電磁石により界磁束を発生させるモータです。中型や大型出力のモータなどで使われています。「分巻モータ」「直巻モータ」「他励(たれい)モータ」に細分化できます。
ブラシ付きモータのメリットは構造がシンプルであり、速度制御しない場合は駆動電子回路が必要ないことです。
しかしブラシと整流子が消耗部品であるため、定期的な交換が必要になるというデメリットがあります。また、ブラシから電気ノイズや騒音が発生します。
ブラシレスDCモータとは
ブラシレスDCモータは、永久磁石を回転子としており、整流子とブラシが必要ありません。回転子の磁極位置を検出して電流を流すコイルを切り替えることで回転子が回転します
回転子を回転させるには電源をつなげるだけではなく、駆動回路が必要です。
ブラシレスDCモータは、ローターの外周に永久磁石が貼り付けられている「表面磁石型」と、ローターの内部に永久磁石が埋め込まれている「埋込磁石型」の2種類に分類できます。
ブラシレスDCモータは、ブラシ付きDCモータに存在したブラシと整流子がありません。そのため、ブラシ付きDCモータと比較して長寿命でメンテナンスの手間がかからない、そして静音性が高いというメリットがあります。
ブラシ付きDCモータvsブラシレスDCモータ 選択する際のポイントは
ブラシ付きDCモータとブラシレスDCモータは、同じDCモータであっても特徴や構造が異なります。「定期的な消耗品交換があっても構わない」という場合は、ブラシ付きDCモータも選択肢の一つとなるでしょう。
ブラシレスDCモータはブラシと整流子を必要としないことから、ブラシ付きDCモータと比較して長寿命でメンテナンス性に優れ、静音性が高いことがメリットのモータです。
何を重視するのか、それぞれのモータの特長や性能をしっかり理解したうえで選択するようにしましょう。
ブラシレスDCモータでお客様の課題を解決
ASPINAのモータは、モータ単体だけでなく、駆動・制御系から機構設計までを含んだシステム部品としてご提供しています。試作から量産、アフターサポートまで一貫して対応しています。
さまざまな業界、用途、お客様製品に求められる機能や性能、お客様の生産体制に合わせて、最適なご提案をいたします。
具体的なご要望や要求仕様のあるお客様だけでなく、次のようなお困りごとの段階でもお声掛けをいただき、開発から量産にまで対応しています。ぜひ、お気軽にご相談ください。
どんなモータが必要か、分からない
- 「新製品の開発が初期段階であり、具体的な仕様や設計図まで作りこんでいない。しかし開発を今後スピーディに進めるためモータについてのアドバイスが欲しい」
- 「モータに通じた専門家が社内におらず、理想の動きを実現するために必要なモータの知見がない」
モータとその周辺部分をまとめて設計するのが難しい
- 「当社のリソースは商品企画やコア技術の開発・設計に投入したい。それ以外のモータとその周辺部分の設計・開発をまとめて行ってくれる会社がないか」
- 「モータを変更すると他の機構部品の設計も変更せねばならず、工数と時間がかかりそう」
用途に合った既製品が見つからない
- 「自社製品に合ったモータのカスタム品が欲しいが、取り引きしているモータメーカーに断られた」
- 「モータをきめ細かく制御したいが、既製品モータでは対応できないので、あきらめるしかないのか」
ぜひ、お気軽にご相談ください。
同シリーズのコラム
- DCモータの特長とその用途について解説
- ブラシ付きDCモータに比べブラシレスDCモータが優れている部分
- ブラシレスDCモータの価格と性能、部材について
- DCモータのタイプと特徴を解説
- ブラシレスDCギヤードモータとは
- ブラシレスDCモータの速度はどう制御する?速度制御方式を解説
- 小型ブラシレスDCモータの出力やサイズ・減速比の特徴と選び方のポイント
- ブラシ付きDCモータとブラシレスDCモータの違いを解説
- ブラシレスDCモータのデメリットとは?解決法をあわせて解説
- ブラシレスDCモータの利点とは?ブラシ付DCモータとの違いも解説
- 電動機とは
- ブラシレスDCモータとは
- ブラシレスDCモータの仕組みとは?駆動回路が必要な理由を解説
- どのように制御する?DCモータの速度制御
- ブラシレスDCモータには駆動回路必要?ブラシレスDCモータの制御方法
- ブラシ付きDCモータの仕組みとは?定期的なメンテナンスが必要な理由を解説
- どのように制御する?ステッピングモータの速度制御の方法
- ブラシレスDCモータの用途 その特徴を活かした例を紹介
- ステッピングモータの用途 その特徴を活かした例を紹介
- ステッピングモータの仕組みとは?制御が容易なモータ
- コンデンサモータとは
- サーボモータとは
- ブロワとは
- アクチュエータとは
- ステッピングモータとは
- DCモータとは?その特徴や仕組みを紹介