ブラシ付きDCモータの仕組みとは?定期的なメンテナンスが必要な理由を解説
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2021年2月18日
DCモータとは、直流電源を使用して動作させるモータです。高速回転が可能で起動トルクが大きいという特徴があります。DCモータは2種類に分けられます。ここではブラシ付きDCモータについて、その仕組みをわかりやすく説明します。
DCモータは大きく2種類に分類できる
モータは構造や駆動方法によって、いくつかの種類に分けられます。交流電源で動作する「ACモータ」、パルス信号によって一定の角度で回転する「ステッピングモータ」、直流電源で動作する「DCモータ」に分類されます。なかでもDCモータは、そのほかのモータと比較して高速回転が可能で起動トルクが大きいことがメリットです。
DCモータはさらに「ブラシ付きDCモータ」と「ブラシレスDCモータ」の2種類に分けられます。ブラシ付きDCモータは整流子とブラシを使った機械的な仕組みで動作するモータで、ブラシレスDCモータは、整流子とブラシを用いない代わりに駆動回路で電子的に制御することで動作するモータです。DCモータの主な特徴は、以下の3つです。
- 高速回転が可能
- 起動トルクが大きい
- 電圧による回転数とトルクの制御が可能
今回ご紹介するブラシ付きDCモータはこれらの特徴に加えて、速度制御をしない場合は駆動回路が不要という特徴があります。
ブラシ付き・ブラシレスDCモータの違いについては、下記ページにて解説しています。
ブラシ付きDCモータとブラシレスDCモータにはどのような違いがある?それぞれを確認.
永久磁石界磁型と電磁石界磁型
ブラシ付きDCモータは使う磁石によってさらに2種類に大別できます。
- 永久磁石界磁型
- 模型用モータや自動車補機用モータなど世界で最も多く使われているモータで、磁界を発生させるために永久磁石を利用しています。固定子に永久磁石、回転子側にコイルがあります。
- 電磁石界磁型
- 電磁石によって界磁を発生させるモータです。界磁巻線と電機子巻線との結線方式の違いにより「分巻モータ」「直巻モータ」「他励(たれい)モータ」の3種類に分類されます。出力が1馬力程度の中型モータから、大型のモータにまで、多く採用されています。
用途や必要となるモータのサイズによって、それぞれ使い分けられます。
ブラシ付きDCモータの仕組み
ブラシ付きDCモータの特徴と仕組みについて確認していきましょう。ブラシ付きDCモータは、回転子(ロータ)にコイルが使用されており、その周りに固定子(ステーター)である磁石が設置されています。コイルの両端は整流子に接続されています。整流子は電極であるブラシと接触していて、ブラシには直流の電気が流れています。ブラシと整流子が接触しているとコイルに電流が流れます。
コイルが回転するとブラシと整流子が接触せず、コイルに電気が流れない状態があります。しかし電気が流れていなくてもコイルは惰性で回転し続けます。再び整流子がブラシと接触すると電流が流れるコイルが切り替わります。
これが繰り返されることで、ブラシ付きDCモータは回転し続けることができます。ブラシ付きDCモータは直流電流で動作し、回転速度を高めたい場合は印加する電圧を調整することで簡単に速度制御が可能です。
ブラシと整流子は消耗品
ここまでご紹介してきたように、ブラシ付きDCモータはシンプルな構造ながらも起動トルクが大きく高速回転が可能で、速度制御しない場合は駆動回路が不要というとても使いやすいモータです。しかし、ブラシ付きDCモータには以下のようなデメリットもあります。
- 電気ノイズや騒音を発しやすい
- 寿命が短く定期的なメンテナンスが必要
ブラシ付きDCモータはブラシと整流子が常に接触しています。接触した状態で回転すると、そこから電気ノイズや騒音が発生するのです。
また、寿命が短いことは特に注意すべきポイントです。ブラシと整流子が常に接触した状態で回転することで、ブラシと整流子は摩擦で徐々に削れ、劣化してしまうのです。金属製のブラシが摩耗すると整流子と接触できなくなり、うまく電気が流れなくなります。これによりブラシ付きDCモータは正常に動作しなくなります。そのため、ブラシと整流子はあくまでも消耗品であり、定期的な点検や交換などのメンテナンスが必要であることを理解しましょう。
ブラシ付きDCモータは、仕組み上メンテナンスが必要
DCモータはブラシ付きDCモータとブラシレスDCモータの2種類に分類できます。ブラシ付きDCモータは、磁石の内側でコイルが回転します。コイルが回転しブラシと接触している整流子が切り替わることでコイルが回転し続け、モータが駆動します。
シンプルな構造ですが、ブラシレスDCモータのブラシと整流子は常に接触したまま回転し、摩耗するので、定期的な交換といったメンテナンスが必要です。
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