ステッピングモータとは
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2020年4月15日
ステッピングモータとは、モータ軸(回転子軸)を持続的に回転させるのではなく、一定の回転角度で断続的に軸を回すモータのことです。
例えば、1秒ごとに秒針が動いて時を刻んでいくタイプの時計がありますが、この動きは、ステッピングモータが1秒ごとに秒針の軸を6°だけ回すことで実現しています。
では、ステッピングモータは、どのような仕組みで軸を一定角度だけ回しているのでしょうか?
その秘密がパルス信号です。パルス信号とは、電源のON/OFFが繰り返される電気信号のことであり、1回のON/OFFを1パルスと数えます。ステッピングモータは、このパルス信号によって、軸の回転角度や回転速度を機械的かつ正確に制御しているのです。
ステッピングモータの種類①(回転子の構造による分類)
ステッピングモータは、モータ軸(回転子)の構造によって次の3種類に大きく分類されます。
- PM型(Permanent Magnet Type:永久磁石型)
- 回転子に永久磁石を使っています。ただし、回転角度(ステップ角)を細かく設定することはできません。
- VR型(Variable Reluctance Type:バリアブルリラクタンス型)
- 回転子に歯車状の鉄心を使っています。回転角度を細かく設定することが可能です。
- HB型(Hybrid Type:ハイブリッド型)
- 回転子に永久磁石と歯車状の鉄心を使っています。PM型とVR型の長所を併せ持つことから、さまざまな用途に使われています。なお、ASPINAが開発・製造しているステッピングモータはすべてHB型です。
HB型ステッピングモータの動作原理
回転子は、円筒形の永久磁石を2個の鉄芯ではさんだ構造で、互いに半ピッチずらして回転子軸に同芯状に取り付けられています。パルス信号により一定のステップ角で回転する仕組みになっています。 1.8°ステップの2相HBステッピングモータの場合は1パルスで1.8°回りますから、360°/1.8°=200、すなわち200パルスでモータ軸は1回転することになります。
ステッピングモータの種類②(コイルへの電流の流し方による分類)
また、モータ内部のコイルへの電流の流し方によって、次の2種類に分けることができます。
ユニポーラ(単極性)型
1つのコイルに対して一定方向へのみ電流を流すタイプです。制御回路はシンプルですが、バイポーラ型に比べるとトルクが得られません。
バイボーラ(双極性)型
1つのコイルに対して双方向に電流を流すタイプです。ユニポーラ型に比べて制御回路は複雑になりますが、高トルクが得られます。
ステッピングモータドライバとは
ステッピングモータは、ステッピングモータドライバと組み合わせて使用します。ステッピングモータの回転角度と回転速度は、ステッピングモータドライバがコントローラからのパルス信号を受けて制御します。
ステッピングモータの特徴
ステッピングモータは、他のモータに比べて次のような特徴があります。
- 長所
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- 回転角度がデジタル入力によるパルスの数に比例するので、位置(回転角度)の制御が容易
- 低速の回転が可能
- 位置制御がオープンループ(フィードバックが不要)でできる
- 停止時の自己保持力に優れる
- 短所
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- 駆動回路が必要
- 想定外の負荷変動などで脱調してしまうことがある
- 振動・騒音が大きい
ステッピングモータの用途
ステッピングモータは停止精度に優れ、中低速域のトルクが高く、応答性も鋭いことから、高精度な制御が要求されるさまざまな駆動系の動力源としてわれています。
- 製造装置
- 複写機
- 医療機器
- 光学ディスクドライブ(Blu-ray/DVD等)
- 分析機器
- レーザープリンタ
- ATM
- デジタルカメラ
- 自動販売機
- エアコンのルーパ
- 券売機
- 遊戯装置
- ロボット
ステッピングモータでお客様の課題を解決
ASPINAのステッピングモータは、モータ単体だけでなく、駆動・制御系から機構設計までを含んだシステム部品としてご提供しています。試作から量産、アフターサポートまで一貫して対応しています。
さまざまな業界、用途、お客様製品に求められる機能や性能、お客様の生産体制に合わせて、最適なご提案をいたします。
具体的なご要望や要求仕様のあるお客様だけでなく、次のようなお困りごとの段階でもお声掛けをいただき、開発から量産にまで対応しています。ぜひ、お気軽にご相談ください。
- どんなモータが必要か、分からない
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- 「新製品の開発が初期段階であり、具体的な仕様や設計図まで作りこんでいない。しかし開発を今後スピーディに進めるためモータについてのアドバイスが欲しい」
- 「モータに通じた専門家が社内におらず、理想の動きを実現するために必要なモータの知見がない」
- モータとその周辺部分をまとめて設計するのが難しい
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- 「当社のリソースは商品企画やコア技術の開発・設計に投入したい。それ以外のモータとその周辺部分の設計・開発をまとめて行ってくれる会社がないか」
- 「モータを変更すると他の機構部品の設計も変更せねばならず、工数と時間がかかりそう」
- 用途に合った既製品が見つからない
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- 「自社製品に合ったモータのカスタム品が欲しいが、取り引きしているモータメーカーに断られた」
- 「モータをきめ細かく制御したいが、既製品モータでは対応できないので、あきらめるしかないのか」
ぜひ、お気軽にご相談ください。
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