DCモータとは?その特徴や仕組みを紹介
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2020年3月30日
一般的にモータとは、電気を利用して回転運動を作り出す機械のことを意味し、電気エネルギーを機械エネルギーに変換する「電力機器」の総称です。
モータには数多くの種類がありますが、本項で紹介するDCモータとは「直流モータ(direct current motor)」のことです。
DCモータは、私たちの身の周りの様々な機器で用いられています。

DCモータとは 他のモータと何が違うのか
モータの種類
モータには、いくつかの種類があります。内部構造と駆動方法の違いにより、以下の3つに分類されます。
- DCモータ(直流電源で回転する)
- ACモータ(交流電源で回転する)
- ステッピングモータ(パルス信号により1ステップずつ回転する)
DCモータは他の2種類のモータと比べ、高速回転が可能で、また起動トルクが大きいことが特長です。
ブラシ付きDCモータ | ブラシレスDCモータ | ACモータ | ステッピングモータ | |
---|---|---|---|---|
効率 | 優れる | 劣る | ||
起動トルク | 優れる | 劣る | 優れる | |
回転数 | 設定により他の種類のモータより高回転に | 3600[r/min]以下 (2極、60[Hz]の時) |
2000[r/min]以下 (方法によってはそれ以上) |
|
脱調やすべり | 共になし | すべり有り | 脱調有り | |
寿命 | ブラシの寿命による | 長い | 長い | 長い |
駆動回路 | 不要 | 要 | 不要 | 要 |
制御方法 | 主にクローズドループ | 主にオープンループ | ||
位置制御 | サーボモータであればできる | サーボモータであればできる | できる | |
一定速度制御 | 優れる | 最良 | 劣る | 優れる |
DCモータは「ブラシ付き」と「ブラシレス」に分類される
DCモータは、ブラシ(電極)の有無により「ブラシ付きモータ」と「ブラシレスモータ」に分類されます。
「ブラシ付き」は、直流電源に接続することにより回転します。「ブラシレス」は、駆動回路(ドライバ)が必要となり、回転子の磁極位置を検出して巻線に適切な電流を流すことで回転します。
ブラシ付きDCモータ 断面模式図
ブラシレスDCモータ 断面模式図
ブラシ付きとブラシレスそれぞれでの特徴の違い
ブラシ付きモータ
ブラシ付きモータは、永久磁石を用いる「永久磁石界磁型」と、永久磁石を使わない「電磁石界磁型」の2種類に大別されます。
- 永久磁石界磁型
- 模型用モータや自動車補機用モータなど、世界で一番多く使われているモータです。電機子の形式により、さらにスロット型、スロットレス型、コアレス型の3種類に分類されます。
- 電磁石界磁型
- 電磁石により界磁束を発生させるタイプのモータです。界磁巻線と電機子巻線との結線方式の違いにより「分巻モータ」「直巻モータ」「他励(たれい)モータ」の3種類に分類されます。出力が中型から大型のモータで採用しています。
ブラシレスモータ
ブラシレスモータは、コイルが回転しないので、ブラシと整流子が必要ありません。ロータへの永久磁石装着法の違いから、以下に分類されます。
- 表面磁石型(SPM:Surface Permanent Magnet)
- ロータ外周に永久磁石が貼り付けられている。
- 埋込磁石型(IPM:Interior Permanent Magnet)
- ロータの内側に永久磁石が埋め込まれている。
DCモータの長所と短所
ブラシ付きモータは、回転の制御や効率がよく、小型化が簡単なため、現在最も多く使われています。
ブラシレスモータは、ブラシ付きモータの欠点でもあるブラシと整流子がないため、寿命・メンテナンス性・音響ノイズの点で優れています。
ブラシ付きモータの特徴
- 長所
-
- 速度制御をしない場合は、駆動回路が不要。
- 高効率設計。
- 高速回転で運転が可能。
- 起動トルクが大きい。
- 電圧に応じて回転数やトルクを制御でき、応答性が良く扱いやすい。
- 短所
-
- 消耗部品であるブラシと整流子を必要とし寿命が短い。
- ブラシから電気ノイズや騒音が発生する。
ブラシレスモータの特徴
- 長所
-
- ブラシがないため長寿命。
- 高効率設計。
- 安定した速度制御。
- 高速回転で運転可能。
- 起動トルクが大きい。
- 短所
-
- 駆動回路(ドライバ)が必要。
DCモータは何に使われるか
DCモータは私たちの暮らしを取り巻く環境の隅々で用いられていると言っても過言ではありません。さまざまな形で用途を広く、利用されています。
例えば、暮らしの面ではエアコンなどの空調機器、冷蔵庫、給湯器など。仕事の面ではオフィスに備えられているプロジェクターや、金融機関で用いられているATM端末機器の内部でも使われています。その他に換気システムを中心とした住宅設備や計測器、自動車、医療機器などにも、その利用は広がっています。
DCモータは生産数量も多く、騒音の抑制や省エネ実現のためには、生活環境や地球環境にとって極めて重要なモータです。
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