キャンドポンプとは?
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2026年8月20日
キャンドポンプの基本と特徴
キャンドポンプ(キャンドモータポンプ)は遠心ポンプの一種であり、モータ部とポンプ部が一体化した密閉構造を持つポンプです。最大の特徴は、固定子を「キャン(can)」と呼ばれる金属または樹脂製の部品に完全収納し、一般的な遠心ポンプで用いられるメカニカルシールなどの軸封を使用しないシールレス構造を採用していることです。そのため、軸封部に起因する液漏れは発生しません。この特徴により、化学液や冷却液、高温水などを扱う漏洩の許されない用途で高い評価を得ています。
さらに、一体化構造のためモータ部とポンプ部が別体の遠心ポンプよりも小型化しやすいことも特徴です。これにより搭載装置の省スペース化・軽量化に貢献し、設計・製造の効率化にもつながります。
キャンドポンプの主要部品
キャンドポンプは以下の主要部品で構成されます。
- ケーシング:流体の吸込み口及び吐出し口、流路との接続部品
- キャン:固定子と流路を隔離する部品
- 回転子ASSY:インペラを回転させる駆動部
- Oリング:液体の外部流出を抑制するシール部品

キャンドポンプのメリット・デメリット
メリット
- 液漏れリスクを大幅に低減
- キャンドポンプは、固定子をキャン内に密閉収納するシールレス構造のポンプのため、メカニカルシール等の軸封部の摩耗や劣化による液漏れは発生しません。この特徴により、漏洩が致命的な、薬品・冷却液・高温水などの液体を扱う用途において非常に高い信頼性を発揮し、また、軸封部に関する漏洩評価や耐久試験の工程が削減できます。
- コンパクト設計で、限られたスペースにも搭載可能
- モータ部とポンプ部を一体化したコンパクトな構造により、装置内の限られたスペースにも搭載しやすく、装置全体の省スペース化や小型化に貢献します。このような特徴から、半導体製造装置やチラーなど、装置の小型化が求められる用途で活用が進んでいます。
デメリット
キャンドポンプは、モータ部とポンプ部が一体構造であるため、仕様変更時の設計自由度に制約があります。例えば、実機評価で必要な流量や揚程を満たせないことが判明した場合、メカニカルシールポンプであれば、条件によってはモータのみを見直して対応できることがあります。一方、キャンドポンプではモータ単体での変更が難しいため、ポンプの再選定や新規設計が必要となる場合があり、対応に時間とコストを要する場合があります。
| キャンドポンプ | メカニカルシールポンプ | マグネットカップリングポンプ | |
|---|---|---|---|
| 液漏れリスク | 極めて低い | 低い | 極めて低い |
| 構造の特徴 | モータ・ポンプ一体 | モータ・ポンプ別体 | モータ・ポンプ別体 |
| ポンプサイズ | 小さい | 大きい | 大きい |
| 軸封構造 | シールレス | メカニカルシール | シールレス |
| 設計自由度 | 低い | 高い | 高い |
| メンテナンス性 | 軸受摩耗時はポンプ交換が必要 | シール交換で継続使用可能 | ポンプ部交換で継続使用可能 |
| 図 |
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キャンドポンプが向いている用途
キャンドポンプの特長が活きる代表的な用途は以下の通りです。
- 半導体製造装置
- 半導体製造装置では、冷却水や薬液を扱うため、高い信頼性が求められます。キャンドポンプはシールレス構造により液漏れリスクを低減できるほか、コンパクトな構造により小型な装置への組み込みにも適しています。
- 冷却装置・温調装置
- チラーや温調装置では、限られたスペースにポンプを組み込む必要があります。キャンドポンプはコンパクトな構造であるため、装置の小型化に貢献します。
- 給湯器・ボイラー関連設備
- 給湯器やボイラー関連設備では、高温水を循環させるため、液漏れリスクの低減が重要です。キャンドポンプはシールレス構造のため、軸封部からの液漏れは発生しません。
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使用する液体に適しているか
水、冷却液、薬品、高温水など、扱う液体に対してキャンドポンプの接液部材質が適しているかを確認する必要があります。液体との相性が悪い材質が使用されていると、液漏れや破損のリスクが高まります。 -
液体中に異物が混入しないか
スラリーや微粒子などの異物が液体中に混入すると、キャンドポンプの軸受など内部部品の摩耗が進み、寿命低下や故障の原因になることがあります。そのため、異物混入のおそれがある場合は、事前にポンプメーカーに相談し、必要に応じてフィルター設置などの異物混入対策を講じることが重要です。 -
設置姿勢・配管条件は適切か
キャンドポンプの設置姿勢や配管条件が不適切だと、内部に空気が滞留しやすくなります。ポンプ内部の空気は、性能低下や寿命低下の原因となるため、メーカー指定の姿勢で設置し、空気が抜けやすい配管とすることが重要です。特に、空気は上に溜まりやすいため、吐出口が下向きになるような姿勢は避ける必要があります。また、ポンプまでの配管はできるだけ抵抗を小さくし、吸込み条件を悪化させないように配慮します。 -
装置側の電源・制御仕様に対応しているか
キャンドポンプの電源仕様(電圧・電流)や制御方式(PWM、インバータ対応など)が、搭載装置の仕様と一致しているかを確認する必要があります。キャンドポンプはモータ部とポンプ部が一体構造であるため、選択できる電源仕様や制御方式が限られる場合があります。 -
運転条件下で想定寿命を達成できるか
連続運転か断続運転かといった搭載装置の運転条件を確認し、その条件下でキャンドポンプの想定寿命を達成できるかどうかを検討することが重要です。条件が合っていない場合、キャンドポンプの早期故障や性能低下のリスクが高まります。装置の稼働率やメンテナンス頻度も踏まえ、ポンプ寿命と装置寿命の整合を取る必要があります。 -
想定寿命と搭載装置の保守方針は適切か
上記5つの条件が適切であれば、キャンドポンプの寿命は主に軸受寿命で決まります。一般的なメカニカルシールポンプでは軸封部の交換によって継続使用できる場合がありますが、キャンドポンプはモータ部とポンプ部が一体構造のため、分解や部分交換は原則できません。そのため、選定段階でポンプの想定寿命と搭載装置の保守方針をあわせて確認しておくことが重要です。
キャンドポンプを安定して使用するには、選定時から実機の使用条件を踏まえることが重要です。カタログ上の性能だけで判断せず、使用する液体、設置条件、制御仕様、運転条件に適したポンプを選定し、使用時にもこれらの条件を満たした状態で運転する必要があります。条件に適合していない場合、性能低下や早期故障、不要な再設計・再選定につながるおそれがあります。
キャンドポンプ選定・使用時の注意点
まとめ
キャンドポンプは、シールレス構造によって液漏れリスクを低減し、モータ部とポンプ部の一体構造によってコンパクト設計を実現できるポンプです。特に、高い信頼性や省スペース性が求められる用途に適しており、冷却装置・温調装置、給湯器・ボイラー関連設備、半導体製造装置など幅広い用途で活用されています。




