新しい構造で今までにない薄さを追求 - 高性能薄型・遠心式キャンドポンプ

  • 環境

  • 水冷システム

極限まで薄型化したポンプとは

「世界一の薄型ポンプを作る」

LEビジネスユニット長、佐藤の号令で薄型ポンプの開発がスタートしました。

薄型ポンプの開発は、このようなシンプルでありながら最も重要な目標を掲げてスタートしました。

特に、薄型化と効率化の両方を同時に実現するニーズが強かったのが、サーバの冷却用ユニットでした。LEビジネスユニット開発設計課の宮坂らは、そのニーズを満たす薄型ポンプとして、遠心式キャンドポンプに照準を定め、開発を進めました。

近年、クラウドサービスの発展で、書類や写真はもちろん、音声や動画などのデジタル化が一層進み、データを保存、処理するサーバは、急速に大容量、高速処理化が進んでいます。データの高速処理には、より高性能なCPU、GPUなどのプロセッサが必要となり、これらプロセッサの高性能化に合わせてサーバで消費される電力も増えてきています。消費電力に比例してサーバ内の発熱量が増加したことで、空冷では冷却能力が足りなくなってきたことから高性能サーバでは液冷のニーズが高くなってきています。液冷でもより多くの冷媒を流し強く冷却を行う必要が生じたものの、サーバが収納されるラック内には十分なスペースを確保することができず、大量の冷媒を送るための大型ポンプを入れることは困難でした。

その限られた狭いスペースへの搭載を目指したASPINAの新しい形状のポンプは、分割鉄芯の薄型モータと独自の基板構造により、94mmという薄型でありながら、最大吐出し量45L/min、最大揚程24mの高出力を実現。既存の製品と比較して半分のサイズにも関わらず同等の出力を誇り、十分な量の冷媒を内部に循環させることが可能です。

img-011-01.JPG Q-H特性図(Duty100%)

ポンプのサイズを小さくしつつ、より多くの冷媒を送る、この一見矛盾する課題を、新しい発想とそれを実現する技術力で解決しました。

自身の熱も逃しつつ十分な体積流量を実現した、独自の構造

理論上、モータを小さくしても大きな電力をかければトルクは上がります。ただそれでは発熱による損失で効率は低下し、また回路が焼損してしまいます。「単純な構造では薄型化は実現できない」と開発が行き詰まりそうになった時、市場にある類似製品の多くは回路基板がモータの下部に配置され、熱が逃げにくい構造となっていることに宮坂は気づきます。この構造を一から見直し、従来とは反対に、基板をモータの上部に配置することで熱を逃げやすくできるのではないか、という発想が生まれました。

加えて、ポンプで冷媒を流すのであれば、モータの上に配置した基板をその冷媒で一緒に冷やすことができるのではと思いつきました。この方法ですと、従来のポンプが採用するヒートシンクを使った空冷方式よりも高い冷却効果が得られ、冷却効率を向上させることができます。

このような新しい配置と構造により熱問題が解決され、ポンプのサイズを小さくしても流量がとれますが、この独自の配置を実現する精緻な技術が、薄型ポンプ開発における核心でした。

さらに、モータ自体もエネルギー損失を低減できる分割鉄芯の薄型モータとすることで稼働効率を上げ、発熱を抑えました。

基板配置、薄型モータとそれぞれに最良のものが仕上がりつつある中、最終段階としてポンプの羽根の構造もベストなものを模索。CAEによる流体解析の技術を用い、連動率の高いクローズド形羽根車をベースにした新たな羽根を開発しました。こうして独自の技術と試行を積み重ねることで、既存の製品の半分のサイズながら同等の出力を持つポンプが誕生しました。

img-011-02.JPG 外観図(イメージ)

着想をカタチに変える、開発チームの力

ASPINAでは、最良の製品をいち早く開発しお客様に提供するため、優れた技術やノウハウを外部から積極的に導入しています。

このポンプの開発では、早い段階からメーカーの展示会や大学などの研究機関に通い、かつ専門分野のコンサルタントの技術指導を仰ぎつつ、知識の獲得や構造実験と検証を繰り返しました。

ポンプの量産化には配線の取り回しや組み立てなど、クリアしなければいけない課題がいくつもあります。その課題を的確にかつ迅速に解決するため、優れた知見とノウハウを持つパートナーを探し、小さな町工場に至るまであらゆる企業に足を運んでいます。

外部の技術の導入は、その技術を理解する力、自社の開発・生産体制に適用させる力などが必要です。このような能力を、私たちは長年にわたり身につけてきました。

ポンプの薄型化、高効率化技術の適用可能性

私たちは現在も、お客様のご要望を取り入れながら、ポンプの性能をさらに高めるための研究を続けています。ASPINAの新しい形状のポンプは、集積化・高性能化が進むサーバの冷却用だけでなく、幅広い適用可能性があると考えています。

この薄型ポンプをご採用いただくことで、顧客製品の設計の自由度が上がり、より優れた製品を開発することが可能となります。

「このサイズで、これだけの出力を出せるポンプは他にない!」サーバ開発企業のご担当者から実際にいただいた言葉です。このようなお客様の驚きの声が、ASPINAの技術と開発への意欲を新たな段階へと引き上げています。

img-011-03.JPG 高性能薄型・遠心式キャンドポンプ 外観