吸音材を用いず流路設計まで考慮したブロワボックス 医療機器開発の負担を軽減

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睡眠時無呼吸症候群の治療に用いるCPAP装置や、人工呼吸器などの呼吸器系医療機器では、ブロワの騒音対策は避けて通れない設計課題です。従来は吸音材を用いたブロワボックスが一般的でしたが、安全性の観点から吸音材を使用しない静音化技術が求められています。

このような要求に対し、ASPINAは流体の制御設計と音響設計を駆使し、吸音材を使用せずに騒音を低減するブロワボックスを開発しました。静音化と流路設計を一体化したモジュールとして提供することで、医療機器開発における設計・評価負担を軽減します。さらに、装置制御に必要なセンシング機能も搭載可能で、開発の効率化と高機能化に貢献します。

医療機器メーカーが抱える静音化の課題

ブロワは呼吸器系医療機器にとって、空気を送り出すために必要不可欠な部品である一方、音を発生する部品でもあります。医療機器メーカーでは、最終製品として十分な静音性能を実現する必要がありますが、そのためにはブロワを組み込む機器の本体側で騒音低減設計を行わなければなりません。例えばCPAP機器の場合、騒音値の目標値は約25~30dBAです。この対策としてブロワを覆うボックスを用いるのが一般的ですが、その開発には専門的な知識や評価設備が必要であり、開発工数の増加要因にもなります。

さらに従来のブロワボックスではウレタン系スポンジの吸音材が用いられますが課題があります。吸音材は高い静音効果を発揮しますが、医療機器では患者の安全性への影響が懸念される場合があります。吸音材の劣化によって微粒子や化学物質が流路へ混入する可能性が問題とされることもあり、医療機器業界全体で吸音材に依存しない静音化技術への関心が高まっています。

当社のお客様もブロワボックスを内製していましたが、上述した多くの課題に直面し有効なソリューションが見つからないとの声をいただき、当社のMEビジネスユニットでブロワボックスを開発することにしました。

着目したのは「流体騒音」

ブロワ周辺の騒音にはさまざまな要因があります。

  • 空気の流れによって発生する流体騒音
  • モータや回転体に起因する振動音
  • ブロワボックスや医療機器本体の共振による音

開発初期段階では、どの要因に着目すべきかを見極める必要がありました。

評価試験を進める中で、ボックス内部の構造によって音質が変化することが分かりました。また、お客様とのワークショップでは、お客様が開発しているプロトタイプについて「空気の流れる音が気になる」という声が多く聞かれました。

対策の効果の大きさや開発期間などを総合的に検討した結果、まず流体騒音の低減に取り組むことにし、流体解析(CFD)を活用して騒音エネルギーを抑えられる内部構造の検討を開始しました。解析結果を基に試作品を製作し、実際に騒音測定を行います。試作品は3Dプリンターを活用して短期間で作製し、評価と改良を繰り返しました。また、単純に騒音エネルギーを抑制するだけでなく、音の干渉を利用することで、騒音レベルを下げられることを発見しました。流体解析と音響解析を活用しながら改良設計を進め、高い静音化性能の実現に取り組みました。

このようにして開発したブロワボックスは、吸音材を使用せずに従来の吸音材使用製品と同等レベルの静音性を実現しました。

新開発のブロワボックスはブロワ単体に比べて大きく騒音値が低減したことを表した図。測定条件はブロワ回転数が19,000rpm、圧力1kPa、MIC距離1mで、ブロワ単体では40dBA超、ブロワボックスは20dBA超と、約20dBA騒音値が低減したことを表している。 新開発のブロワボックスはブロワ単体に比べて騒音値が大きく低減

医療機器の開発から量産まで見据えたブロワボックス

ブロワボックスの役割は騒音を低減することだけではありません。

呼吸器系医療機器では、ブロワ周辺の流路設計も重要な開発テーマです。必要な流量や圧力を確保しながら、圧力損失の低減や熱対策、騒音対策を同時に実現する必要があります。しかし、これらは相互に影響し合うため、機器メーカーにとっては設計や評価に多くの工数を要する領域でもあります。 ASPINAのブロワボックスは、ブロワを収納する筐体であると同時に、流路としても機能することを前提に設計されています。開発では流体解析(CFD)を活用し、流量や圧力特性への影響を考慮しながら流路形状を最適化しました。これにより、お客様はブロワ周辺の流路を一から設計する負担を軽減できるほか、騒音に関わる機能評価の工数削減も期待できます。

また、ボックス特有の課題にも対応しています。

例えば、騒音低減のためにブロワを覆うと、内部に熱がこもる可能性があります。特に人工呼吸器向けの高出力ブロワでは熱対策が重要になるため、用途に応じて冷却経路を設けるなど、静音性と冷却性能の両立を考慮しています。

加えてASPINAでは、設計だけでなく製造・品質保証まで見据えた開発を行っています。開発初期から生産技術部門、品質保証部門、調達部門が参画し、生産性や品質確保を考慮した設計を実施しています。量産段階での安定生産まで含めて検討しています。

材料選定においても、医療機器に求められる要求事項を考慮しています。難燃性材料や生体適合性を考慮した材料を採用しています。

その結果、ASPINAブロワボックスは以下のメリットを提供し、お客様の製品開発を支援します。

  • 吸音材に起因する安全性リスクを低減
  • 流体騒音・機械騒音・共振騒音を考慮した静音設計工数を削減
  • 圧力損失の低減や熱対策まで考慮した流路設計工数を削減
  • ブロワ単体だけではなく、周辺部品も含めた品質保証

サイズ・形状のカスタム対応・各種モジュール・受託製造などニーズに合った技術提案をします

ASPINAのブロワボックスの形状・サイズはカスタム対応が可能です。またニーズに応じて制御基板の受託製造からアセンブリ提案までご支援します。

ASPINAは、モータ技術や駆動・制御技術、センシング技術、基板開発技術も保有しています。そのためブロワ単体ではなく、ボックスや制御回路を含めたモジュールとしてご提案できます。単なる部品提供ではなく、お客様の製品開発全体を支援できることが、ASPINAの他社に見られない大きな強みです。

詳細な仕様など製品に関するお問い合わせや技術的なご質問は、下のボタンからお気軽にお問い合わせください。

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