医療機器の可能性を拓く小型化設計 – 12リットルコンプレッサー
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携帯型酸素濃縮器、医療機器、分析装置の小型化ニーズに応える、12リットルコンプレッサーを開発中
ASPINAでは、携帯型酸素濃縮器やその他の医療機器、分析器具の需要の増加に対応するため、12リットル(L)コンプレッサーを開発しています。このコンプレッサーは構造の工夫により、重量460g、大きさは体積換算で452cm3を実現。携帯型酸素濃縮器(POC)、歯科ユニット、リハビリ装置、小型分析装置、バッテリー駆動の携帯機器のさらなる小型化に対応します。
例えば酸素濃縮器は、自宅や屋外でショルダーバッグ感覚で持ち歩けるサイズにすることで、呼吸器系患者の活動範囲/行動の制限をなくしたいというニーズがあります。ある調査では、携帯用酸素濃縮器を使用する患者の42〜53%が、携帯性、重量、サイズの改善を望んでいます。携帯用酸素濃縮器をさらに小型化するためには、そこに組み込まれるコンプレッサーの小型化と高効率化が求められます。また、さまざまな治療に使用できる携帯型酸素濃縮器を開発するためには、呼吸同期設定だけでなく連続供給設定でも動作する、コンパクトで高出力のコンプレッサーが必要です。
1気筒とアウターロータモータで、画期的な構造のコンプレッサーに
MEビジネスユニットで医療機器向け製品の設計を行うチーフエンジニアの上田一宏は、「このサイズと重量が顧客要件に適合するか、と何度も原理コンセプトのレビューを行いました」と振り返ります。
コンプレッサーの重量はシリンダ部の数に応じて増加します。「2気筒では小型・軽量化に限界があると判断し、1気筒で設計することにしました」(上田)。また、現在生産・供給している医療機器向けオイルレスコンプレッサーで実績があるシリンダとピストンを用いることで、製品の寿命や信頼性を確保することにしました。
同様の性能を持つコンプレッサーの多くは、軸方向に細長のインナーロータモータを採用しています。しかしASPINAは、自社の豊富なモータラインナップの中から軸方向に扁平なアウターロータモータを採用し、その形状を生かしてコンプレッサーを設計することにしました。モータのラジアル方向にシリンダとピストンを並べ、扁平なモータの全高がシリンダの高さを超えないよう配置します。ピストンに力を伝達するコネクティングロッドは、荷重を分散しつつ偏荷重を防ぐためアウターロータモータを上下から挟み込むような二股状とし、モータのシャフト両端に取り付けられた円盤状のクランクにはめ込まれます。
このようにしてコンプレッサーは、機器に収納しやすい薄型平板な形状となりました。
携帯型機器開発者に評価されるサイズと出力を実現
選定したモータはφ62のアウターロータタイプのブラシレスDCモータです。小型化における構造面での利点だけでなく、モータの特性にも注目しました。アウターロータモータは回転モーメントが大きく、連続的に気体を供給するコンプレッサーに適していると考えました。回転数は1,500~2,500rpm、定格圧力140kPa(20psi)、定格流量12L/分で圧縮気体を供給するために十分な出力を発揮します。
項目 | 開発仕様 |
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用途 | 携帯型酸素濃縮器、リハビリ機器、小型分析装置 |
定格圧力 | 140kPa (20psi) |
定格流量 | 12L/min |
定格回転数 | 2,500rpm |
質量 | Approx. 460g |
外形寸法 | 136 x 66.5 x 50mm |
動作温度範囲 | 5 ~ 40°C |
電源電圧(代表値) | 24V |
目標寿命 | 8,500 h |
「このサイズと重量で12L/分の出力が出せるコンプレッサーは魅力的だと、開発当時の顧客に評価されました」(上田)。原理コンセプトを考えるたび、この大きさで本当にいいのか、もっと小型にできないかとしつこく問い続け、コンセプトを練り直しました。そのようなマインドセットと行動力を持つASPINAのパーソナリティが、目標とするサイズを実現させました。
医療機器、分析装置などのモビリティをさらに高める、ASPINAのコンプレッサー
医療機器や分析装置はこれまで、大きさや重量が制約となり、病室や分析室といった特定の場所での使用に限られたり、携帯・携行するのも容易でなかったりしました。患者のQOL(生活の質)の向上や、機器稼働率を高めたいというニーズに応えるため、持ち運びの負担がより少なく、手軽に持ち運べ、移動中にも使用できる機器の開発が加速すると考えます。ASPINAの12Lコンプレッサーはそのような機器開発ニーズに応えるベストなソリューションです。
ASPINAは1気筒から4気筒まで、大きさや重量、必要とされる流量や圧力に合わせてラインナップを拡充し、また標準的なコンプレッサーでは難しいニーズに対応するカスタム設計も承ります。ASPINAは、コンプレッサーを用いる携帯型機器の小型化を後押しします。是非ご用命ください。
関連情報
Exhibition information
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2024年11月19日
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2024年10月15日
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2024年10月8日