幅広い経験が生む斬新な設計 - 医療機器ODM
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新製品開発の初期段階でアイデアをお聞きし、カタチにする
ASPINAのODM(Original Design Manufacturer:顧客製品の受託開発・生産)は、革新的な設計の医療機器を提案しています。開発チームは、顧客メーカーの開発初期段階で断片的なアイデアやお悩みなどをヒアリングし、ODMの30年にわたる経験や知識から新たな着想を得て、具体的な製品設計に落とし込んでいます。
アメリカの医療機器メーカーで、MEビジネスユニットの香山哲生が人工透析装置の新製品開発に関する打ち合わせを行ったときのことです。打ち合わせでは、顧客から新製品に関する仕様や設計図面などの具体的な情報は提示されず、主に製品の課題やアイデアについて議論を行いました。香山はそこから顧客の真のニーズを把握し、それを日本の開発チームに持ち帰って検討を進めることにしました。
従来品にないモータや機構の採用でポンプの騒音レベルを低減
人工透析装置メーカーが抱えていた大きな課題の一つは、輸液ポンプでした。ポンプはピストン(プランジャ)式で、小型のギヤードモータとカム、樹脂チューブを押圧するプランジャで構成されていましたが、50dBもの大きな音響ノイズを発生していました。ギヤードモータは、チューブを押すのに十分なトルクを出すためにギヤの減速比が高く、また小型のモータを高速で回転(10,000回転/分程度)させる必要がありました。このためモータやギヤ部から発生する騒音が大きくなります。
ASPINAではまずモータの選定から開始し、低速でも高トルクが得られ低振動で回転する、ベクトル制御(FOC:Field-Oriented Control)駆動の医療用サーボモータシステムを採用することにしました。このシステムはステッピングモータを使用していますが、ベクトル制御により、負荷がかかるチューブ押圧時にモータが脱調することがありません。
香山と開発チームは、カムシャフトの代わりにリードスクリュー機構を使用するアイデアを思いつきました。モータがリードスクリューを回転させ、回転運動を直線運動に変換してピストンを上下させチューブを押圧します。エンコーダが0.1125°の角度分解能でモータを制御し、リードスクリューを精密に動作させピストンを繊細に動かすことができます。またこのシステムにより、ギヤやカムが不要となり、人工透析装置内にスペース的なゆとりが生まれました。そのため□42mmの大きさのモータを採用し十分なトルクを得ることができました。
振動や騒音の問題についてはさらに、モータやポンプから人工透析装置本体への振動の伝達を抑えるため、取り付け部にダンパーを設けました。
最終的には、ポンプの騒音レベルは45dBまで低減し、顧客メーカーが想定していた値をも下回る結果を得ることができました。
複数のバルブを1台のモータで制御する機構を開発
人工透析装置の輸液ポンプシステムは、ポンプの両側にチェックバルブがあり液体の流れを制御しています。バルブ1つには通常、モータ、カム、バルブピンが1つずつあります。また装置内には、透析液を輸送するチューブの各所に多数のバルブがあります。
香山はODMの設計開発チームに、かつて印刷機のフィーダーモジュールで採用したのと同様に、1つのモータで複数のカムを制御する方法を提案しました。そこで開発チームは、1台のステッピングモータが、ワンウェイクラッチを備えたシャフトで複数のカムを回転させる機構を設計しました。モータが1方向に回転すると2つのカムが回転し、逆転するとこれらのカムが停止し他のカムが回転する、というものです。この機構により、φ36mmのステッピングモータ1つで、複数のバルブを制御することができます。
モータの数を減らすことで、この輸液ポンプ全体のサイズを小さくすることができるだけでなく、人工透析装置から発生する音も減少させることができます。また磁気エンコーダを用いてバルブ角度を0.4度以下の高分解能で正確に検知することができます。
ASPINAは、医療機器メーカーに信頼されるODMパートナーです
30年にわたり各種のODM製品を開発してきたASPINAは、製品の開発・製造において高い評価をいただいています。医療機器向けODMサービスは、医療機器メーカー様のパートナーとして設計から量産まで対応します。お客様に具体的な仕様や設計図面がない段階でも、専門のスペシャリストがお話をお聞きし、設計や試作を通じカタチにし、量産まで一貫してお客様をご支援します。
新製品開発におけるお悩みや課題がある、あるいは設計や生産の委託をご検討の際は、お気軽にお問い合わせください。
関連情報
Exhibition information
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2024年11月19日
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2024年10月15日
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2024年10月8日