小型の高効率モータ
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2020年2月13日
小型モータとは主に出力の小さいモータを指し、エアコンや電子レンジなどの一般的な家電や、コンピュータ、音響機器、産業機器、自動車など、様々な製品に組み込まれています。小型モータの種類にはブラシレスモータ、直流モータ、同期モータ、誘導モータなどがあります。
一般にモータは、消費電力が少なく出力が高いほど、効率が良いと考えることができます。省エネを実現するために、小型モータには高効率化が求められています。
小型高効率モータの定義
通常は100W以下の出力のものを小型モータと呼びます。さらに、出力が3W以下のモータは、「超小型モータ」または「マイクロモータ」と呼ぶ場合もあります。また、永久磁石を用いているものを小型モータと言うこともあります。
小型高効率モータの種類
高効率モータを分類する明確な定義はありませんが、私たちは小型モータの構造や特徴・用途などから、ブラシレスモータ、DCモータ、シンクロナスモータ、インダクションモータの4つに分類できると考えており、以下にそれらについて述べさせて頂きます。
ブラシレスモータ(ブラシレス電動機)
ブラシレスモータは、エアコン、電子レンジ、冷蔵庫などの家電、パソコン、サーバーなどの冷却用ファンなどに活用されています。
従来のモータの機械的な整流子(ブラシ)を半導体に置き換えることによってブラシなしで駆動します。回転するローター部分は、永久磁石でN極とS極を検知するために、磁極センサを用います。
ブラシレスモータといえば、ほぼブラシレスDCモータを指します。ブラシレスDCモータは、インナーロータ型と、アウターロータ型の2種類に分類できます。インナーロータ型は制御性に優れており、アウターロータ型は安定した回転を維持することに優れています。
- インナーロータ型
- ファン等を駆動する高速回転、可変速に適した構造です。重量物である回転体が軸の中心に近いため慣性モーメントが小さく、数千回転から1万回転まで素早く回すことができ、停止精度に優れています。
- アウターロータ型
- 回転体がモータの外側にあって慣性モーメントが高くなるため、回転速度をより安定させやすい長所がある一方で、回転速度を細かく変化させることが難しくなるという短所があります。また、形状を扁平・薄型にすることができます。
DCモータ(直流電動機)
いわゆる直流モータと呼ばれるもので、直流(Direct Current)電源を用いて駆動するモータです。超小型高効率モータとして使用されることが多く、音響機器、玩具、自動車等のパーツに搭載されています。回転子(ロータ)が固定子(ステータ)の界磁を回る際に、整流子とブラシが中心的な役割を担うものを直流整流子モータ(ブラシ付きDCモータ)といいます。
シンクロナスモータ(同期モータ)
ロボットや電気自動車等に使われている、交流(AC = Alternating Current)電流を界磁に流した際に固定子と回転子との隙間に発生する回転磁界の差異の同期速度(Synchronous Speed)で回るモータのことです。
これらの多くは、電圧をかけても自己始動できないため、始動には同期引込トルクが必要です。ブラシレスACモータ等の永久磁石同期モータは、一般的に誘導モータと比較すると高効率です。
インダクションモータ(誘導電動機)
インダクションモータは、小型から大型まで幅広く普及しています。大型はトップランナーモータとして扱われているものもあります。詳しくは「大型の高効率モータ」で解説をしています。小型のものは、換気扇やポンプ等に多く使われています。三相誘導モータは同期モータ同様に三相交流電流で駆動します。コイルと磁束が鎖のように交わる鎖交状態で起電力が発生する電磁誘導を利用します。かご形誘導体と鉄心からなるローターを持ち、幅広い温度で駆動し耐久性に優れており、保守も容易です。
小型高効率モータの設計情報
小型モータの高効率化は、3つの視点から考えることができます。
- モータ単体の性能
- 通常はブラシレスDCモータを選択します。ACモータなど、他のモータを選択する場合は、コスト抑制など効率以外の要素を重視する場合のみです。
- モータ以外の性能
- 例えばパソコンに使われる小型ファンであれば、ファンの幅、角度、重量などを変化させることにより、モータの性能をさらに引き出すことも可能です。
- 制御方法の検討
- モータやモータ以外の部品のような物理的な要素だけでなく、モータの制御方法も重要です。例えばモータ駆動用の演算子(MCU Micro Controller Unit)を活用すると、速度調整、センサー連動などの高度な制御が可能となり、物理的な手段に頼らずに効率向上を試みることができます。近年、普及が進んだこれらの制御方法は高機能化、低価格化が進み、より高度な制御を安価に実現できるようになりました。
ASPINAでは、お客様が設計する最終製品が求める性能にあわせた、小型高効率モータなどについてご質問、ご相談を承っています。詳しくは「ASPINAの小型高効率モータ」をご覧ください。
小型高効率モータの用途
小型高効率モータは、様々な場面で利用されています。ここでは一部の用途をご紹介します。
- 空調機器:エアコン、除湿機、ファンヒータなど
- 給湯器:高効率給湯器でガスを燃焼させるために空気を送るファンモータとして
- 自動販売機:飲料自動販売機の冷却や加熱をするファンモータとして
- ATM、釣銭機:紙幣や硬貨を搬送するベルトやギヤの駆動部として
- 健康機器:空気中にミストを発生させるイオンミスト発生装置として
詳しくは「小型高効率モータの用途」で紹介しています。
ASPINAの小型高効率モータの実例
ASPINAの小型高効率モータは、家電や住宅設備、産業機器に使われる様々なファン(シロッコファン、ターボファン、軸流ファン、プロペラファン)を始めとして、低消費電力で長時間、連続使用される製品に強みと永年の経験があります。また最新のテクノロジーにも精通しています。
ぜひ、私たちの事例をご覧ください。
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