AMR(自律走行搬送ロボット)とは?AGV(無人搬送車)との違いは?
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搬送ロボット
2022年10月11日
近年、労働人口の減少や高齢化などの社会の変化に伴い労働人材の確保が難しくなってきています。それを解決する手段の一つとして、自動搬送ロボット等の導入による「搬送の自動化」が注目されています。
搬送の自動化を検討する際に、導入する機器の候補に挙げられることが多いのがAMRとAGVです。
ここではAMRとAGVの違い、製造現場へAMRを導入する場合のメリット、AMRが得意とする現場について説明します。
AMR(自律走行搬送ロボット)とは?
AMRとはAutonomous Mobile Robotの略称で自律走行搬送ロボットと呼ばれています。
SLAM(Simultaneous Localization and Mapping:スラム) 機能を搭載し、周囲の環境地図を作成、自己の位置を推定して自動で経路探索しつつ目的地まで走行できます。
人や障害物を自動で回避するので、人が作業しているエリアで運搬したい、既存の現場の搬送作業を自動化したい、人の運搬作業に近い複雑な搬送をしたいという要望に柔軟に対応できます。
AGV(無人搬送車)とは?
AGVはAutomatic Guided Vehicleの略称で無人搬送車と呼ばれています。
磁気テープやランドマークなどの誘導体によって、決められたルート上を走行するロボットです。その特性から、特定の区間、同じものを多く・素早く搬送する大量生産の製造現場に向いています。
AMRとAGVの違い
機能面や使い勝手におけるAMRとAGVの大きな違いは次の通りです。
走行方法
AMRは現場をセンシングしながら環境地図を作成します。その地図をもとにAMR自身が最適ルートを探索し自由自在に現場を走行します。走行場所も自ら考え判断しますので、決まったルート以外の場所も走行します。
AGVは走行するための磁気テープなどガイドラインを必要とし、そのルート上のみを移動します。基本的には決まったルート以外を走行させることはできません。
導入準備
AMRは環境地図を作成するだけで既存の現場に導入することができます。設置に時間がかかる経路のティーチングや磁気テープなどのガイドの準備は不要です。
AGVは磁気テープなどのガイドの設置、経路のティーチングなどが必要で、導入準備にある程度の時間が必要です。
運用
AMRは作業者や地図上にない障害物を回避しますので、人と協働できます。また現場のレイアウト変更や工程変更があった場合は、AMRは環境地図を再作成し、目的地を再設定するだけで、現場の変更に対応できます。
AGVは経路上に作業者や障害物があった場合に停止するため、障害物を撤去してから走行させます。テープなどの誘導体が切れてしまうと走行できないため、誘導体の定期的なメンテナンスが必要です。またレイアウト変更・工程変更があった場合は、ガイドの再設定や経路のティーチングなど再度導入準備をします。
表 AMRとAGVの違い
AGV | AMR | ||
---|---|---|---|
有軌道タイプ | 有軌道タイプ ガイドレス |
無軌道タイプ ガイドレス |
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一般的な呼称 | AGV | 自律移動型AGV 追従型台車 など |
AMR 自律走行型AGV SLAM式自律搬送機 など |
走行方式 | ガイド式 (磁気テープなど) |
自律走行+ガイド式 (ランドマーク、追従など) |
自律走行方式 |
導入準備: 経路ティーチング | △ | △ | 〇 |
導入準備: 導入までの期間 | △ | △ | 〇 |
運用: レイアウト変更対応 | × | ×~△ | 〇 |
運用: 人との協働対応 | × | ×~△ | ◎ |
コスト: 導入コスト | ◎ | 〇 | △ |
コスト: 運用コスト | △ | 〇 | 〇 |
導入できる現場 | 同じ搬送を繰り返す テープを貼り付け可能な場所 搬送を人から隔離できる |
同じ搬送を繰り返す テープが貼り付け不可能な場所 搬送を人から隔離できる |
様々な物を搬送する 複雑なルートを搬送する 人と協働する場所 |
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※当社調べ
AMRのメリット(AMRができること)
誘導体の設置が不要
AMRは、磁気テープやランドマークなどを新規設置・交換・メンテナンスするためにかかる工数やコストが不要です。また製造現場の工程変更やレイアウト変更に柔軟に対応できます。
ルート自動探索でティーチング不要
AMRはSLAM機能を搭載していますので、AMR自身が最適ルートを自動探索します。
人と協働できる
AMRは、作業者や地図にない障害物を認識すると停止・回避し目的地へ向かいます。搬送エリアと人の作業エリアとを明確に分けて運用する必要がありませんので、作業者の近くで一緒に働くことができます。
AMRが得意とする現場
人が作業するエリア
多くのAGVは搬送エリアと人の作業エリアとを明確に分けて運用する必要がありますが、AMRは人と同じエリアでの協働が可能で、人や障害物を認識して自動的に回避しながら走行し目的地へ向かいます。
このように、AMRは人が作業・往来するエリアにおける搬送の自動化や、人が作業している近くへの搬送を実現することができます。
レイアウト変更や工程変更が頻繁に行われる現場
生産現場によっては、多品種小ロット生産で頻繁に段取り替えや工程・レイアウト変更が行われる場合があります。AGVを使用する場合は磁気テープなどの誘導体をそのたびに張り替える必要がありますが、AMRであれば環境地図を再作成し目的地を再設定するだけで、変更が行われた現場で搬送を再開することができます。
ASPINAのAMR
ASPINAのAMRは、AGVにはないメリットを初め、導入のしやすさや安心品質、ソフトウェアによる機能拡張、といった特長があります。詳しくは製品情報のページをご覧ください。