顧客価値を生む着想 - ASPINAの特許技術
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自動化
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搬送ロボット
顧客の業界を知り、顧客の要望を実現することにより生まれた特許
革新的な発明は、今までに誰も考えつかなかったアイデアや、気付かなかった新たな工夫から生まれます。誰も至らなかった考えに気付けるか、そしてそれを実現できる技術があるのか。発想と技術の探求なくしては、新たな製品は生まれません。当社は、市場やお客様からの要望を熟知し、それに応えるための技術開発を積み重ねてきました。その結果、生み出された数多くのアイデアと技術は、特許という形で結実しています。
当社が特許技術を開発し完成させたものに電動ロボットハンドがあります。この電動ロボットハンドは多機能化しやすい中空構造を備え、またカム型ハンド機構とモータとの接続部を工夫し電動ロボットハンド全体を小型化しました。そしてこれらの技術一つひとつには、技術者たちの情熱と創意工夫のストーリーが存在します。
無駄を省き、改良を重ね生まれた中空構造
「あらゆるものの把持に挑戦」。この言葉を目標としてスタートした電動ロボットハンドには、一つの特許技術と、他社と協力し共同出願中の特許技術、二つの特筆すべきものがあります。まず当社独自に特許を取得した技術として、中空構造があります。これは、爪を動かすカム機構とカムを動かすモータの回転軸とに穴があり、電動ロボットハンドの後部から前部まで貫通しています。その穴の内部を通してカメラなどを取り付けることができる、今までにない構造となっています(特許第6342567号)。
この中空構造で電動ロボットハンドの多機能化が実現します。例えば、穴を通してカメラを設けることで、対象物を把持する直前まで電動ロボットハンド側からの視点で撮影することが可能です。また、エアーアタッチメントを付けることで、エアーを吹きつけてワークの汚れを吹き飛ばすことができます。あるいは、吸着パッドと組み合わせて爪で把持すると、電動ロボットハンドの強みを活かしながら確実に把持することができるのです。
しかし、中空構造を実現するため電動ロボットハンドには、無駄な部分を省き、モータの内部機構、制御回路も含めて全て変えていかなければなりませんでした。
開発の際には、前例のない構造のため、製品仕様を満たすメカ設計に労力を費やしました。幾度も設計を変え、内部構造や制御技術に改良を重ねることで完成した電動ロボットハンドは、小型でありながら中空構造を実現。電動ロボットハンドの多機能化に対して、有効な構造が生まれました。
他社との協力で小型化を実現した立体カム機構とモータの連結技術
そしてもう一つの技術として、他社との協力により、立体カム機構とモータの接続を小型化した仕組みがあります。この仕組みは現在、特許を共同出願している段階となります。(2019年9月現在)
立体カム機構とは、電動ロボットハンドやロボットアームの関節部を駆動させる機械構造です。電動ロボットハンドの爪の動作を阻害することなく立体カムとモータの回転軸を連結するには、カップリングを使用するため、立体カム部に十分なスペースをとる必要があります。ロボットアームの小型化を実現させるためにはこの問題を解決するべきだと考えました。
このスペースを確保するという問題に対し、カム間の隙間に連結用のネジ穴を設け、モータの回転軸に対してもそれに対応したネジ穴を設けることで解決(特開2019-72795)。交換部品を最小限に減らして製品自体のコストとメンテナンスコストを削減し、電動ロボットハンドの小型化と最大限の把持力を引き出すことに成功しました。
この成功の背景には、高精度な立体カム機構の特許を有する企業、福島大学発のベンチャー企業である株式会社ミューラボ(以下、ミューラボ)との協力があります。より多くの対象物を把持できる電動ロボットハンド実現のため、開発チームが辿り着いた答えがミューラボのカム機構をベースに新たな開発を行うという「協業」でした。当社のモータと制御技術に、ミューラボが特許を保有する立体カム機構を組み合わせて小型化するという発想は、「より高いレベルの製品を」という開発意欲が生み出した結果です。高性能のモータと制御技術、これはモータメーカーにしかできない製品と言えるでしょう。その土台があるからこそ、特許の共同出願という特別な領域まで技術を高めることができました。
特許技術でどのような未来を作るのか
電動ロボットハンドに限らずモータ、減速機、制御回路、ファン、ケースなど、当社の製品には顧客価値を生む、新規性と進歩性を備えた技術が詰め込まれています。
これは市場とお客様の要望に応えるため、開発者の探究心と情熱から生まれた特別な価値を持つ技術といえるでしょう。モータメーカーとして、この先もさまざまなことにチャレンジし続ける限り、特許技術は増え続けると確信しています。
そして、当社がこれらの特許を得るまでの道のりには、開発チームの数限りない検証と分析を重ねたものに加え、パートナー企業や大学の研究機関とのオープンイノベーションを経たものなど、社内外のさまざまな人々の情熱や取り組みが不可欠でした。
今後もお客様の課題解決に向け、新たなアイデアと高度な技術力をご提案し、特許技術を通して未来の形を皆様と作っていきます。
電動ロボットハンドの詳細は下記リンクをご覧ください。
Exhibition information
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2024年11月19日
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2024年10月15日
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2024年10月8日