車載用ブロワモータの種類と選び方のポイント
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2025年10月22日
ブロワモータは車両内の様々な用途で使用される重要な部品で、特に熱管理が不可欠な場所で使用されます。車載用ブロワモータを選定する際は、異なる車両システムにおいて最適な性能、エネルギー効率、耐久性を確保するために、主要な要素を考慮することが重要です。
ブロワモータとは?
ブロワモータは、羽根(ブレード)の回転によって気流を発生させる機械装置です。類似の装置にはファンやコンプレッサーがあり、それぞれ吸入圧力に対する吐出圧力の比率によって分類されます。さらに、ブロワモータはその構造に基づき、軸流(Axial)式、斜流(Diagonal)式、遠心(Centrifugal)式、クロスフロー(Cross-flow)式の4種類に分類されます。
車載用ブロワモータの種類
車両には様々な種類のブロワモータが搭載されています。以下は代表的な製品とその機能です。
- 暖房・冷房システムの気流を制御し、調整された空気を車内に循環させます。
- 車室の空気を吸い込み、シートクッションや背もたれを通して送風することで、熱や湿気を取り除きます。
- シート加熱・冷却用ブロワモータ
- シート内部から直接送風し、シート表面全体に空気を循環させます。
- バッテリー冷却用ブロワモータ
- 電気自動車(EV)のバッテリー温度を制御し、バッテリーシステムの性能、寿命、安全性を確保します。
- DC-DCコンバータ冷却用ブロワモータ
- DC-DCコンバータモジュールを効率的に冷却し、最適な性能と過熱防止を実現します。
- インフォテインメントシステム冷却用ブロワモータ
- 自動車のインフォテインメントシステムを冷却し、電子部品の過熱を防いで安定した動作を維持します。
- ヘッドライト冷却用ブロワモータ
- 高出力LEDヘッドライトバルブから発生する熱を放出し、過熱を防いでライトの性能と寿命を維持します。
- 燃料電池用酸素供給ブロワモータ
- 燃料電池に酸素を効率的かつ制御された状態で供給し、最適な発電性能を確保します。
- 空気清浄機用ブロワモータ
- 車内の空気清浄システム内で空気を循環・ろ過し、車室の空気質を改善します。
- ネックウォーマー用ブロワモータ
- 運転手や乗員の首元へ温風を送り、寒冷時の快適性を高めます。
車載用ブロワモータの例
車載用ブロワモータは他のブロワモータとどのように違うのか?
車載用ブロワモータには一般的な民生品と共通する機能や特徴もありますが、最大の違いは厳格な品質管理基準にあります。自動車は乗員や歩行者の安全を最優先にする必要があるため、その構成部品全体にも高い安全性が求められます。そのため、ブロワモータを含む車載部品は、業界特有の厳しい安全規制・品質基準・性能要求のもとで製造されています。IATF16949 や ISO9001 のような認証、そして自動車メーカー(OEM)による監査への合格は、車載部品の信頼性と品質の重要な指標です。
車載用ブロワモータを選定する際のポイント
システムに最適なブロワモータを選定するために、いくつかの重要な要素を考慮する必要があります。QCD(品質・コスト・納期)のあらゆる観点が重要ですが、ここでは主に品質と性能面での選定基準を紹介します。
- PQ(圧力–流量特性)
- 風量は一定時間にどれだけの空気を動かせるかを示し、静圧は抵抗に打ち勝って空気を押し出す力を示します。シート材やフィルターなどの抵抗がある用途でブロワモータを使用する場合は、十分な風量を確保するために静圧性能が重要です。静圧と風量のバランスが取れたブロワモータを選ぶことで、最適な性能が得られます。
- 取付方法とサイズ
- ブロワモータにはさまざまなサイズや取り付け形状があるため、設置スペースを事前に確認し、改造なしで取り付け可能なものを選定することが重要です。
- 重量
- 部品の重量は、特にEVの航続距離に直接影響します。軽量化設計はEV性能を最適化し、走行距離を最大化するための重要な要素です。
- 騒音
- 車内快適性の向上には静音化が欠かせません。特にEVはエンジン音がないため、ブロワモータの騒音特性がより重要になります。dB値だけでなく、異音のない音質も求められます。
- 振動
- キャビン内で使用されるブロワモータでは、振動は乗員の快適性に直結します。振動を抑えるためには、初期アンバランスを防ぐブロワモータの設計と、インペラ成形後のバランス修正の2つの技術が必要です。
- 消費電力
- EV化の進展により、省エネルギー型ブロワモータが求められています。十分な風量を確保しつつ、消費電力を最小限に抑える高効率ブロワモータの選定が重要です。
- 電圧・電源仕様
- 用途に応じて、12V、24V、48Vなど、必要な電圧仕様を確認し、車両の電気システムと適合したブロワモータを選定する必要があります。
- 耐久性・信頼性
- ブロワに使用されているモータは、要求される寿命に基づいて選定する必要があります。長寿命・高効率が求められる用途では、ブラシレスDC(BLDC)モータが選ばれる傾向にあります。また、車載部品は極端な温度・湿度、衝撃、振動、塩水、粉塵といった過酷な環境に耐える必要があります。そのため、高い耐久性、衝撃および熱衝撃耐性、ケーシング剛性が求められます。車載用ブロワモータを選ぶ際は、そのサプライヤーが材料選定と設計技術の両面でこれらの要求に応えられることを確認しましょう。
これらの要素を考慮することで、様々な車両システムにおいて最適な性能、エネルギー効率、耐久性を確保できます。しかし、これらの仕様を満たす製品を探すのは容易ではありません。例えば、風量とサイズ、あるいは風量と騒音の間にはトレードオフがあり、理想的な性能を持つ製品を選定するには、カスタマイズ対応を含むサプライヤーの協力が必要です。
ASPINAの先進的なブロワモータ技術で課題を克服
ブロワモータ開発の鍵は、モータ、ファン、ケーシング、インペラ、回路などの各部品を詳細に分析し、性能低下がどこで発生しているのかを正確に把握することにあります。ASPINAは、長年の開発で培った専門知識を活かし、ブロワやモータの性能を最適化するだけでなく、より小型・軽量化し、稼働時間を延ばすことも可能です。また、長年の製造経験で培ったノウハウを駆使することで、振動や騒音も低減しています。さらに、製品設計の柔軟性を高めると同時に、コスト削減にも貢献するのがASPINAのブロワモータです。カスタマイズの対応範囲も広いため、お気軽にご相談ください。
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