製品開発を加速するシートベンチレーションブロワ:迅速な試作検証と柔軟な提案で実現
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車載
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車載シートベンチレーションシステム

自動車シートおよびシートベンチレーションシステムメーカー
変化し続ける自動車業界とシートベンチレーション市場に応えるため、迅速で多様なソリューションが必要
自動車業界は今、変革期を迎えています。電気自動車(EV)の普及が進むほか、シートには快適性を高める様々な機能が搭載されるようになりました。その中で、自動車メーカー(OEM)からシート・シートベンチレーションシステムのサプライヤーに至るまで、サプライチェーンにおけるすべてのプレーヤーが多様な課題に直面しています。
技術革新の最前線に立つASPINAは、このような状況下にあるお客様のニーズに応えるシートベンチレーションブロワを幅広く取り揃えています。本記事では、業界特有の課題に対応した3つの導入事例を通じて、お客様の製品開発を効率化するASPINAの提案をご紹介します。
事例1:EVに最適な小型・静音・高性能ブロワ
自動車業界がEVへとシフトする中で、車両設計における新たな要件が生まれています。従来のガソリン車と異なり、EVは車両床下に大容量バッテリーを搭載しているため、座席を設置する内部スペースが狭くなっています。さらにEVは非常に静かなため、わずかな音でも目立ちやすくなります。同時に、マッサージ機能や広々とした座席といった、快適性を高める機能への期待も高まっています。そのためEVでは、コンパクトで静か、なおかつ高い換気性能を備えた新しいタイプのシートベンチレーションブロワが求められています。しかし、一般的にコンパクトさと静音性、さらには風量や静圧といった換気性能とはトレードオフの関係にあり、これらをすべて満たすには大きな技術的課題があります。しかし、ASPINAはこのような制約を克服した2つのモデルをご提案します。
DRF-29A306 EV-T XL:ASPINA独自の背面吹き出し構造により、最大風量34 CFMでありながら騒音レベルわずか52 dB(A)という優れた性能を発揮します。吹き出し口から発生する風切り音を最小限に抑えつつ、風量性能を両立する革新的な設計です。排気がブロワ本体のコンパクトな外形内に収まるため、設置スペースに制約のある用途において特に有効です。
DRF-29A306 EV-T XL
DRF-29A306 XL:静音性にも優れたモデルですが特に静圧性能が高く、最大静圧は568 Paに達します。シート表皮の通風抵抗が高い場合に最適です。業界の主流である側面吹き出し型のケーシング設計であるため、既存製品との置き換えもスムーズです。
DRF-29A306 XL
どちらの製品も外形120mm×厚さ22mmという小型・薄型設計で、EVの薄型シートへの搭載に最適です。
DRF-29A306 EV-T XL (左)とDRF-29A306 XL(右)ブロワの排気の流れ方
事例2:高温多湿地域に適した高速冷却性能
シートベンチレーション機能の人気は世界的に高まっています。特にアジア太平洋地域が成長市場として注目されていますが、気候が異なれば求められる性能も異なることを考慮しなければなりません。
例えば東南アジアでは高温多湿な気候が主流で、すばやく座席を冷やす性能が重視されています。多くのユーザーが車に乗る前にシートベンチレーションを最大出力で作動させ、シートが冷えた後に乗車するという使い方をしています。しかし従来はブロワの小型化が求められてきたため、市場の既存製品ではこの使い方に必要な風量を確保できず、高速冷却するには性能が不十分でした。このような新たな市場ニーズに対し、ASPINAは大風量型モデルDRF-29A306 XXL をご提案します。
DRF-29A306 XXLは冷却性能を最優先に設計されています。シロッコファン(多翼遠心ファン)を搭載しており、低回転でも強力な送風を実現します。これにより最大46 CFMの風量を発揮しながら、騒音は最小限に抑えられています。サイズは標準的なブロワよりやや大きめですが、冷却効率の高さは群を抜いており、過酷な気候条件での使用に最適な選択肢です。
DRF-29A306 XXL
DRF-29A306 XXLとASPINAの他のシートベンチレーションブロワのP-Q特性比較
事例3:OEM仕様への対応と高コストパフォーマンス
シートおよびシートベンチレーションシステムのメーカーにとって、自動車OEMの要求は製品開発に大きな影響を与えます。自動車業界の安全規格や品質基準に対応するための必須仕様に加え、OEMによっては製品コンセプトや独自方針に基づいて使用部品を指定することがあります。一方で、シートのベンチレーション機能は広く普及しつつあり、製品のコモディティ化が進むことで価格競争も一層激しくなっています。すなわち、今やメーカーはOEMの仕様に対応するだけでなく、市場が求める高いコストパフォーマンスも実現する必要があります。
ASPINAが業界のニーズを調査した結果、いくつかのOEMではシートベンチレーションブロワのモータに使用するベアリングの種類を指定していることが分かりました。ここでは、ボールベアリングの使用が指定された事例に対し、ASPINAのDRF-26106 Standardをご提案します。
DRF-26106 Standardは、高い性能とコスト効率を兼ね備えたボールベアリング仕様のブロワです。以下のような工夫によって技術的要件と経済性を最適化しています。
- 小径かつ極数の多いモータを採用することで小型化を実現。外形100mm×厚さ21mmとASPINA製品群の中でも最小クラスながら、最大静圧450Paを達成。
- モータを三相から単相に変更し、ブロワ構造を最適化することで、性能を維持しつつコストを削減。
- プレス加工したステータハウジングを樹脂製のボトムハウジングにインサート成形することで、部品点数と製造コストを大幅に削減。
DRF-26106 Standard
これらの最適化は製品設計チームと生産技術チームの緊密な連携によって実現しました。これにより、スリーブベアリングに比べて高コストとなるボールベアリングの採用であっても、それを上回るコストメリットを実現しています。
迅速な試作検証とカスタム対応で、お客様の製品開発を加速する
ここまでご紹介した事例に共通しているのは、ASPINAが市場ニーズに応える多様な製品を取り揃えており、いずれもサンプルの提供体制を整えている点です。自動車のシート設計は開発プロセスの後半に行われることが多く、シートおよびベンチレーションシステムのメーカーが仕様検討にかけられる時間は限られています。そのためASPINAはお客様の製品開発スピードを重要視します。9モデルある製品ラインナップから迅速にサンプルを提供することで、お客様は早期に試作検証や設計に取り掛かり、量産スケジュールに沿って製品開発をスムーズに進めることができます。
さらにASPINAの強みであり他社と一線を画すのがカスタム対応力です。限られたスペースへのブロワの組み込みや、シート材質に応じた最適な風量調整など、各プロジェクト特有の課題に対応するノウハウがあります。主要OEM10社以上への供給実績と、長年の経験に裏打ちされた技術力で、最適な風量、静音性、高信頼性を実現するご提案をします。
ASPINAの技術力とイノベーションへの情熱を通じて、お客様の迅速な製品開発と市場投入を力強くサポートします。
関連情報
課題
- 市場の拡大に伴い、業界特有の多様なニーズに対応した製品開発が求められている
- 製品開発のリードタイムが短く、ブロワのサンプルを早急に入手する必要がある
- プロジェクトごとの要求仕様に最適化された製品設計が必要
対応
- 多様な市場ニーズに対応した幅広い製品ラインアップを用意
- 全モデルでサンプルを提供可能、これをベースに試作検証ができるので製品開発をスムーズに進められる
- プロジェクトごとに最適化されたカスタム設計を提案、ASPINAの技術チームがお客様の開発プロセス全体をサポート
Exhibition information
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2025年5月16日
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2025年3月14日