CPAP装置の騒音問題をASPINAの医療機器用ブロワで解決

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医療機器メーカー H社

次世代CPAP装置用に社内開発したブロワの品質が不安定

静音性で高い評価をいただいているASPINAの医療機器用ブロワが、医療機器メーカー様の次世代小型CPAP装置に採用された事例をご紹介します。

睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)に対する有効な治療方法としてCPAP(Continuous Positive Airway Pressure)療法の普及が進んでいます。その際に使用するCPAP装置は、就寝時に使用するため患者本人や家族の睡眠を妨げない静音性が求められます。CPAP装置を開発・製造するH社では、CPAP装置への需要の高まりや他社製品との競争激化から、より静音な次世代小型CPAP装置を開発することにしました。

それまでH社ではCPAP装置用のブロワは内製しており、この新機種用のブロワも社内で開発・生産しようと考えていましたが、次の事情で困難だと判断しました。

主な問題は、開発したブロワの品質が安定しないことでした。ブロワの重要な構成部品であるモータの回転が安定しなかったのです。モータは他社製で、自社で必要な改良を加えることができませんでした。さらに、自社のブロワ組み立てラインでのバランス工程は手作業のため、品質がばらつき、新製品に求められる騒音や振動のレベルに抑えるのが困難とH社は考えました。

加えてH社は当時、ブロワを量産する能力が十分とはいえませんでした。工場に十分なスペースがなく、また量産設計の精度も高くありませんでした。

これらの制約からH社は、社内で開発するブロワでは、より静音な次世代CPAP装置で求められる高い基準を満たすことができないと判断しました。

他社製のブロワでも騒音が大きく、その原因はモータに

H社はブロワを内製する代わりに他社のブロワが使えないか検討を始めました。いくつかのサンプルを取り寄せて評価を行いましたが、いずれも騒音レベルが許容範囲を超えていることが判明しました。ブロワのメーカーに問い合わせたところ、騒音の原因であるモータが自社開発でないため、改良の余地がないばかりか技術的な質問にも回答できない、と断られました。

そのようなとき、H社は医療機器の展示会でASPINAを見かけ、そこで展示していたブロワのデモを見て興味を覚え、評価用のサンプルを提供して欲しいとASPINAに依頼しました。

ASPINA医療機器用5kPaブロワの外観画像 ASPINA医療機器用5kPaブロワ



ASPINAの技術面の協力でCPAP装置の騒音問題を解決

当社からサンプルのブロワを受け取ったH社は、社内で評価試験を実施し、ブロワが実際に静かであることを確認しました。ASPINAのブロワは、騒音の主な発生源であるモータとインペラに静音化の工夫が施されており、さらに騒音レベルだけでなく音響ノイズの周波数分析も行って対策がされています。H社は、CPAP装置が発する騒音に対するユーザーの真のニーズをASPINAは深く理解していると感じたそうです。H社ではこのブロワでCPAP装置の開発を進めることを決定しました。

ブロワ騒音源を特定してその低減を行った際の、周波数分析グラフ。対策前のグラフに比べ、対策後のグラフではスパイク状の波形が低減されている。 周波数分析によるブロワ騒音源の特定の例



ところがCPAP装置の試作を進めていくうちに、どう工夫しても騒音を抑制することができない状況が起こりました。H社はブロワに原因があるのではと考えASPINAに問い合わせました。当社はブロワやその構成部品の問題かを騒音の種類ごとに詳しく説明しました。また騒音の発生源はブロワ自体の他にも、ブロワの振動がCPAP装置に伝わって発生することや、圧縮空気が通る配管の空気音などが考えられますが、当社はブロワに限らずそれらの原因の説明をし、さらに対策についてもアドバイスをしました。

原因調査を進めるため、H社はブロワの周辺機構を含めたブロワボックスをASPINAの開発拠点に持ち込み、ブロワを組み付けた状態での試験をASPINAと共同で実施しました。無響室での騒音測定の結果から、ブロワボックスの設計変更で騒音が低減できると当社から提案を行いました。H社はブロワボックスの設計変更案を採用したところ、実際に騒音が低減し問題が解決しました。

技術面だけでなくお客様のCPAPビジネス全体を支援

グローバルにビジネスを展開するASPINAは、海外が拠点のH社と週次でミーティングを行い、様々な課題に迅速に対応しました。また納期や物流コストなどの面でH社にメリットを提供できるよう、ブロワをH社指定納入先に近い工場で生産することを提案しました。このように、製品開発段階での技術サポートから効率的なサプライチェーンソリューションまでの包括的な支援体制が、H社のCPAPビジネスに大きな価値をもたらすと考えました。

ASPINAのメキシコ生産拠点の外観画像。この工場では主に北米向けに製品を生産・出荷している。 ASPINAのメキシコ生産拠点では主に北米向けに製品を生産・出荷している



こうしてH社は次世代CPAP装置の開発を完了し、販売を開始しました。販売後の市場からの品質に関するフィードバックに対しても、ASPINAのアフターセールスサポートが誠実に対応しています。

このようにASPINAは単にブロワを供給するだけでなく、新製品のプロダクトライフサイクルを通し問題解決に積極的に取り組むことで、H社にとって不可欠なパートナーとなりました。

先進的なモータ技術を駆使したASPINAの5kPaブロワ、10kPaブロワは、医療機器市場の具体的なニーズをいち早く捉えたことで生まれた製品です。また医療機器の設計から生産、アフターセールスまで的確に対応しています。医療機器開発で課題に直面している、あるいは将来の課題となりそうなことがあれば、お気軽にお声がけください。

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関連情報

課題

  • 次世代CPAP装置用ブロワを自社開発しようとしたが品質が安定せず、原因となるモータは購入品で改良の余地がなかった
  • 自社工場のスペースや加工能力が十分でなく、次世代CPAP装置用ブロワの量産が困難だった
  • 購入を検討したブロワも、モータはブロワメーカーで開発したものでなかったため、モータが発生する騒音を改善できなかった

対応

  • 騒音レベルが低く耳障りな音も軽減されたブロワの評価用サンプルを提供
  • ブロワやCPAP装置から発生する騒音への対策をアドバイス 共同で騒音測定などの試験を実施
  • 生産やアフターセールスまでプロダクトライフサイクルを一貫してサポートし顧客価値を最大化

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