背面吹き出し型ブロワで実現する小型・高性能なシートベンチレーションシステム
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車載
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車載シートベンチレーションシステム

自動車OEM、シートおよびシートベンチレーションシステムメーカー
EVの普及やシート機能の多様化によりシート快適性のニーズが高度化。自動車OEMやシートベンチレーションシステムメーカーはより優れた快適性の提供が求められています。
運転中の快適性は非常に重要で、シートのサーマルコンフォートシステムは今やドライバーにとって必須の装備です。しかし近年ではEVの台頭やシート機能の多様化により、自動車OEM、Tier1のシートメーカー、そしてシートベンチレーションシステムメーカーに大きな影響をもたらしています。
EVではガソリン車に比べ、シートに割けるスペースが相対的に限られています。また、マッサージ機能などの追加装備の需要の高まりによりシート内部の構造は複雑化し、さらにスペースが制限されてきています。これらの制約により、メーカーはよりコンパクトでありながら性能を維持、または向上させたシートベンチレーションシステムの設計・開発が求められています。
シートベンチレーションシステムの開発・設計を取り巻く業界特有の課題
シートベンチレーションシステムの小型化には、その主要部品であるブロワの選定が非常に重要です。しかしシートやそのベンチレーションシステムの開発・設計プロセスにはいくつかの課題があります。
まず、シートの設計は車両全体のデザインや内装設計が決定した後に開始するため、シートベンチレーションブロワの仕様検討やサプライヤー選定は車両開発の後半で行われるのが一般的です。また、シートデザインは車内デザインと調和し、自動車OEMの内装設計の意図に反しないよう配慮する必要があります。
さらに、キャビンデザインが変更されるとシート設計も即座に見直す必要があります。そしてこれは開発現場では珍しいことではありません。しかしシート設計の変更はしばしばブロワの性能にも影響を与えます。たとえば開発段階でシート素材の変更があると、空気抵抗が増しブロワの風量が低下する可能性があります。
このように自動車OEMやTier1企業、シートベンチレーションシステムメーカーは、短期間で製品仕様を決定し設計を進めながら、突発的な変更にも柔軟に対応する必要があります。このような業界特有の課題を踏まえると、仕様変更の度に一から再設計する必要のないブロワの選定は開発・設計チームの負担を大きく軽減します。
ASPINAの高性能背面吹き出し型ブロワでシートベンチレーションシステムをコンパクトに - そして一度の選定で完結
ASPINAのDRF-29A306 EV-T 背面吹き出し型ブロワは、高性能を維持しながら大幅な小型化を実現しています。本製品は外形寸法105mmの小型設計でありながら、最大風量24 CFM、最大静圧450 Paを達成します。
一般的に、ブロワを小型化すると風量・静圧性能が下がる傾向にありますが、ASPINAの背面吹き出し型ブロワはいくつかの革新的技術によりこれを克服しています。
まず、シロッコファンではなくターボファンが採用されています。これは、シロッコファンは風量に優れるものの効率が低いためです。仮に同じモータコアを用いたままシロッコファンで出力を上げようとすると、電流値が限界を超えてしまいます。一方でターボファンは効率が高い反面、風量が少ないという特性があるので、これを補うために本製品ではASPINA独自設計の「背面吹き出し構造」を採用しています。背面吹き出し構造は排気口面積を拡大することで風量を向上させるほか、従来のシングルアウトレット・デュアルアウトレット構造には難しい小型化も実現しています。しかし排気口面積を広げると静圧が低下するので、本製品にはディフューザーを取り付けて排気流を減速させることで静圧を確保しています。
ブロワの主流であるシングルアウトレット構造の当社製品 DRF-29A306 Wideと比較すると、背面吹き出し構造のDRF-29A306 EV-Tは同じ出力を維持したまま、15mmの外形小型化を実現しています。つまり、本製品を採用することで高い風量・静圧性能を維持したままお客様製品をコンパクトにすることができ、シート設計変更に伴う要求仕様の変化にも十分対応できます。
DRF-29A306 EV-T(背面吹き出し)とDRF-29A306 Wide(従来型側面吹き出し)のP-Q特性比較
DRF-29A306 EV-T(背面吹き出し)とDRF-29A306 Wide(従来型側面吹き出し)のサイズ比較
業界トップクラスの静音性でさらなる課題も解決
背面吹き出し構造は性能維持と小型化を可能にするだけでなく、騒音低減にも貢献します。
EVはガソリン車よりも静かなため、ブロワの動作音はより一層気になる要素です。ASPINAの背面吹き出し型ブロワは車内の騒音を低減し、より快適な乗り心地を提供します。
ブロワの騒音の主因は排気音です。ASPINAの背面吹き出し構造は排気口面積が広いため、低周波のランブルノイズ(こもったような低音)を大幅に抑制し、市場にある同サイズ製品の中でもトップクラスの静音性を実現しています。
DRF-29A306 EV-T (背面吹き出し)とDRF-29A306 Wide(従来型側面吹き出し)の風量・騒音特性
ほかのシートベンチレーションシステム関連の騒音として、ブロワの排気が周囲の構造物に当たることで発生するものがあります。主流のシングルやデュアル吹き出し型ブロワは吹き出し口が側面にありシート内に向かって排気するため、周囲の構造物に風が直接当たってしまいます。吹き出し口付近に空間を確保すれば騒音を軽減できますが、近年はシート内のスペースが限られており、それも容易ではありません。そこで、ASPINAの背面吹き出し型ブロワであればシート背面に向かって排気するため、内部構造物への干渉を避けることができ、エンジニアの設計自由度を高めます。
DRF-29A306 EV-T(背面吹き出し)の搭載・排気イメージ
従来型側面吹き出しブロワの搭載・排気イメージ
ASPINAの実績とソリューション
ASPINAは世界10社以上の自動車OEMにシートベンチレーションブロワを提供してきた実績があり、業界のニーズに寄り添った製品開発を続けています。ASPINAの背面吹き出し型ブロワは、頻繁な設計変更への対応にお悩みのシート・シートベンチレーションシステムエンジニアに最適です。
課題
- EV化や多機能シートへの対応のため、限られたスペースに設置できるシートベンチレーションシステムの開発が必要
- シートベンチレーションブロワを小型化しながら高風量・高静圧性能を維持したい
- 再設計なしで仕様変更に対応したい
対応
- 背面吹き出し構造によりブロワサイズを12.5%小型化、限られたスペースにも設置可能
- ディフューザーの採用により従来型ブロワ以上の性能を確保、シートの仕様変更にも柔軟に対応可能
- EVに求められる静音性を実現し、快適な車内空間に貢献
Exhibition information
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2025年6月17日
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2025年6月12日