高効率モータのすべて

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2021年3月29日

近年、大型・小型を問わず高効率モータの利用が拡大しています。モータを使用する製品の性能アップや電力量の削減が目的です。
本ページでは、高効率モータの特徴や制度・設計・種類・用途などについて、日本のみならず海外の動向もふまえてお話しします。

高効率モータとは

高効率モータとは、消費電力の損失が少なく、出力される駆動性能が高いモータを指します。
私たちは、高効率モータを、制度上・設計上の2つの視点で分類しています。

制度上の高効率モータ

我が国では、1998年に省エネ法が改正された際に「トップランナー制度」が導入されました。これは、自動車・家電製品・OA機器などの「特定機器」について、国内で出荷された最も優れた省エネ性能の製品と同等か、それ以上のエネルギー消費効率を目指さねばならない、というものです。
その目標基準値は、モータ単体として指定されているものと、モータを部品として組み込んだ最終製品に指定されているものがあります。
国内の制度について、詳しくは「国内の高効率モータの制度」にて解説をしています。

モータ単体の場合

トップランナー制度の特定機器として、モータ単体では三相誘導電動機が指定されています。
三相誘導電動機は、大型ポンプ、送風ファン、生産ラインのベルトコンベヤ駆動など、多くの産業分野で用いられています。
三相誘導電動機のエネルギー効率は、JIS規格(JIS C 4034-30)において、4段階の効率クラスが設けられています。効率クラスは低いものから、IE1,IE2,IE3,IE4と分けられています。これらの中で、IE2以上が高効率モータとされています。
2013年11月、モータのトップランナー化に向けた政省令・告示改正(交流電動機の追加等)がされました。これにより2015年度を目標年度として、モータ効率規格の目標基準値は、プレミアム効率(IE3)と規定されました。この基準値を達成したモータを「トップランナーモータ」と言います。

  • 目標年度とは、機器の製造事業者、輸入事業者が特定機器について、目標基準値を達成すべき年度、すなわち規制が開始する年度を指します。

私たちは単体で用いられる三相誘導電動機を、主に大型モータと分類し、「大型の高効率モータ」で解説をしています。

製品に組み込まれる場合

エアコンや冷蔵庫などの家電製品や、複写機などOA機器は、トップランナー制度の対象となる特定機器に指定されています。これらの特定機器は、モータ単体と同様に、製品ごとに省エネの基準値が設けられています。基準値を達成するためには製品設計においてトータルな高効率化が必要であり、その構成部品であるモータも効率化向上に重要な役割を担っています。
私たちは家電製品などに組み込まれるモータを、主に小型モータと分類し、「小型の高効率モータ」にて解説をしています。

設計上の高効率モータ

モータ単体としてトップランナー制度で指定されている三相誘導電動機と、エアコンなど特定機器として指定されている家電製品に組み込まれるモータでは、設計や設置時の検討事項が異なります。

モータ単体の場合

主に産業部門で用いられる三相誘導電動機のうち、周波数50Hz/60Hz、定格出力が0.75kW以上375kW以下、定格電力が1000V以下などで定義されるモータの省エネ性能は、「トップランナーモータ」として規制をされています。
2015年度以降、工場の生産設備などで上記のモータを新設・更新する際は、決められた効率クラスのモータを利用しなければなりません。
既存のモータをトップランナーモータに更新する場合、更新前のモータと同じ負荷で運転をすると、速度が上がり消費電力が増加する傾向があることにご注意ください。
私たちは、単体モータで規制されているモータを「大型モータ」と分類しています。詳しくは、「大型の高効率モータ」をお読みください。

製品に組み込まれる場合

トップランナー制度において、特定機器として指定された家電やOA機器の省エネ性能基準を満たすためには、製品設計においてトータルな高効率化が求められます。
例えばファンモータの場合、モータ単体の性能向上だけでなく、ファンの形状、重量、材質といった物理的要素や、駆動を制御するプログラムなども重要な要素となります。
私たちは、製品に組み込まれるモータを、「小型モータ」と分類しています。詳しくは「小型の高効率モータ」をお読みください。

海外の高効率モータの制度

高効率モータのうちトップランナー制度において、モータ単体で指定されている三相誘導電動機は、国際的にも規制の対象となっています。効率クラスは国際電気標準会議(IEC)で定められています。
詳しくは「海外の高効率モータの制度」をお読みください。

国際電気標準会議とは

国際電気標準会議(IEC)とは、電気・電子工学及び関連技術を扱う国際的な標準化団体です。IEコード(IEC)規格は、規則群、規格適合、IT技術等の範囲で、国際標準化機構(ISO)とも連携しています。

効率クラスについて

三相誘導電動機の省エネ性能は、国内のJIS規格と同様にIEC規格に基いて、IE1~4までクラス分けされています。効率クラスは性能の低いものから、IE1、IE2、IE3、IE4となっています。

各国の制度

諸外国も省エネ推進を目的として、モータを高効率化させる規制があります。規制の基準は主に国際電気標準会議で示したクラスを基にしていますが、中国のGB規格のように独自の規格を設けている国もあります。海外にモータを輸出する際は、それぞれの国の制度に準じた対応が求められます。
各国の具体的な規制については「海外の高効率モータの制度」をお読みください。

大型高効率モータ

モータを大型・小型に分類する場合、そのサイズではなく、出力に着目します。例えば大型モータは、定格出力が100Wを上回るものを指すのが一般的です。
詳しくは「大型の高効率モータ」で解説しています。

大型高効率モータの種類

大型高効率モータは、構造・動作原理・制御方法などにより、インダクションモータ、サーボモータ、永久磁石モータなどに分類しています。用途とモータの特性から、適切なモータを選択します。

大型高効率モータの用途

大型の高効率モータは、主に産業分野で利用されています。汎用的なファン・ポンプ・コンプレッサーの駆動装置、加工機・産業用ロボットといった工場設備、さらには油田発掘や風力発電などのエネルギー設備等、様々な産業分野において大型の高効率モータが活用されています。

小型高効率モータ

小型モータは主に容量が100W以下のものを指し、一般的な家電やコンピュータ、音響機器などで利用されています。さらに容量3W以下のモータは、「超小型モータ」または「マイクロモータ」と呼ばれることもあります。
小型モータはモータ単体では省エネ制度の規制はありません。しかしモータが組み込まれた製品が省エネ規制であるトップランナー制度の特定機器となる場合は、モータの高効率化も重要な要素となります。
詳しくは「小型の高効率モータ」で解説をしています。

小型高効率モータの種類

一般的に小型モータを分類する明確な基準はありませんが、私たちは小型モータを動作原理などにより、ブラシレスモータ、直流モータ、同期モータ、誘導モータ等に分類しています。それぞれのモータの特徴や用途については、「小型の高効率モータ」で解説をしています。

小型高効率モータの用途

小型高効率モータは、空調機器、住宅設備、給湯器、バーナーユニット、環境機器、お風呂周り製品、自動販売機、冷凍冷蔵庫(ショーケース)、金融端末、産業機器、光学製品、プリンタ、複写機、健康機器、商用機器など、日常生活をとりまく様々な場面で利用されています。
事例の詳細は、「小型高効率モータの用途」をお読みください。

ASPINAの高効率モータ

私たちASPINAは、モータの小型化・高効率化には原則として小型のブラシレスDCモータが最適と考えています。
私たちがご提供するモータは、予め用意した部品を組み合わせてご提供する標準品と、部品を一から設計するカスタマイズ品の2種類をご用意しています。
詳しくは、「ASPINAの高効率モータ」をお読みください。

ASPINAの標準品

ASPINAでは、モータのコア(鉄心)やモータケース等の標準パーツを組み合わせ、お客様のご要望に近いものをご提案します。さらにモータ単体だけでなく、ファンなどの周辺機器も取り揃えています。
例えば、ファンモータは、シロッコ型(高風量、低圧力)とターボ型(低風量、高圧力)の2種類をご用意しています。

ASPINAのカスタマイズ品

ASPINAのカスタマイズ品は、お客様の設計目的に合わせたご提案をします。
モータ単体だけでなく、トータルでの高効率化を狙います。
例えばファンモータの場合、ターボファンの羽根とケーシングを自社設計し、ファンの効率とモータの効率を動作点で摺り合わせ、高い総合効率を実現した実績があります。実績例は、「ASPINAの高効率モータ」をお読みください。

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