医療機器設計の総合ガイド

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2024年9月24日

医療機器の設計はプロセスが複雑で、市場のニーズからユーザーの要望、順守すべき医療機器に関する法規制、それらを踏まえたプロジェクト管理など、数多くの事柄を深く理解している必要があります。医療機器は患者の身体に直接作用する製品であるため、製品の安全性を確保することが設計には極めて重要です。また医療機器メーカーにとって、継続的に収益をあげる視点も医療機器の設計には不可欠です。安全で効果が高く、かつ市場競争力のある医療機器を提供するために、医療機器メーカーは設計と試験を厳格に行いつつ量産も考慮した設計を行うことが求められます。最近では医療機器の複雑な設計プロセスに対処するために、医療機器メーカーではOEM(製造受託)/ODM(開発製造受託)のパートナー企業と協力することが行われています。このガイドは、医療従事者と患者にとって安全で効果的な製品を開発できるよう、設計プロセスの各ステップを簡潔に説明します。

医療機器設計プロセスのダイアグラム図。ステップ1からステップ6までと、各ステップの小見出しを記載。 医療機器設計プロセス



ステップ1:アイデア出しと製品コンセプト作り

ニーズの特定

市場調査を通じて、ニーズと既存製品とのギャップを探索します。調査では、医師、看護師、患者などのエンドユーザーへのインタビューが有用です。エンドユーザーの視点は医療機器の設計では大切です。インタビュー、サーベイ、観察調査を通じて、彼らのニーズ、好み、日常の課題について詳細な情報を収集します。

コンセプト作り

未解決のニーズが特定できたら、それらを効果的に解決する革新的なソリューションがあるかを開発に携わるメンバー間で議論します。複数のコンセプトを考案し、その実現可能性と影響を評価します。特に、実現可能性は綿密に調査する必要があります。

ステップ2:試作

試作品の製作

医療機器の試作品を製作し、評価試験を実施し改良します。この段階から試作を行うことで、開発の早い時期に課題を発見し、製品仕様が最終的に決まるまでに設計の変更を十分に行うことができます。

評価試験の繰り返し

評価を反復的に行うことで、ユーザーからのフィードバックや試験結果に基づいて試作品の改良を続けます。評価と改良を繰り返すことで、すべての要件を満たし、信頼性を持つ最終製品を作り上げることができます。

ステップ3:リスク管理

リスクの特定

設計中の医療機器に関する潜在的なリスクを特定するためにリスク評価を綿密に実施します。採用する部品や、製品ライフサイクルを通したプロセスで、潜在的な問題がないかを多角的に分析します。

リスクの軽減

リスクを特定したらそれを軽減するための対策を実施します。対策は、設計変更や変更点に対する追加の評価試験、フェイルセーフ機能の追加があります。実効性の高いリスク管理を行うことで、潜在的な危険がエンドユーザーに及ぶ前に対処することができます。

ステップ4:法規制対応

医療機器関連の法規制への対応

アメリカのFDAやヨーロッパのCEなど、設計中の医療機器の使用が想定される国や地域における医療機器関連規制に対応した製品設計を行う必要があります。設計を開始する前からこれらの規制を理解しておくことで、追加コストが発生する設計の手戻りを避け、計画通りに製品を市場投入することができます。

品質管理システムの要求に適合した設計管理

医療機器の法規制に適合するため、品質管理システムで要求される設計プロセスを構築し実施する必要があります。例えば、要求に適合していることを示す文書を製品のライフサイクルを通じて作成し保管するなどです。

ステップ5:検証と妥当性確認

検証

医療機器がすべての要件を満たしていることを検証するために、綿密な評価試験を実施します。例えば、各部品やモジュールから、機器本体全体までの評価を行い、仕様を満たしているかを確認します。

妥当性確認

計画した通りの機能を継続的に発揮できるかを、実際の使用環境で確認します。設計においては、臨床的な試験を通じて評価を行い、製品の有効性と信頼性を確認します。

ステップ6:市場投入

市場投入の準備

医療機器を市場に投入するための全体の計画を策定します。例えば、販売促進や製品の流通方法の他に、市場での製品の性能や安全についてモニタリングするための計画があります。

市場投入後のモニタリング

市場における医療機器の性能や安全面での継続的な監視を行います。ユーザーからのフィードバックを収集し、それをもとに必要な改良を行い、継続的に製品の安全性と有効性を確保するようにします。



これまで説明したステップに沿って医療機器の設計を行うことで、法規制での要求に適合しつつ、設計プロセス全体を綿密かつ入念に実施することができます。そして医療従事者および患者にとって安全で効果的な製品が完成します。

『バイオデザイン』アプローチによる医療機器設計

バイオデザインとは、生物工学にデザイン思考を取り入れて行う開発手法です。

バイオデザインは、スタンフォード大学のDr. Paul Yockとその同僚によって2001年に開発されたもので、医療従事者や患者のニーズを満たす医療機器の設計を行うための様々な考え方を提供しています。設計プロセスにデザイン思考を導入することで、患者や医療専門家のいる現場を見て課題を探り、生物工学の技術を用いてその課題を解決するという設計アプローチです。



ASPINAは、現場のニーズに応える医療機器向けの製品を提供しています。例えばASPINAの静音・小型のブロワを採用し、患者のベッドサイドに置いて快適に治療が続けられるCPAP装置(睡眠時無呼吸症候群治療用の装置)が開発されています。このようにASPINAは、患者や医療従事者の視点を重視した医療機器の開発に貢献しています。

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