「絹糸紡績資料館」閉館のお知らせ
~「蚕都上田」での資料活用探る~

インフォメーション

2021年7月30日

絹糸紡績資料館は、「日本の絹糸紡績業界の資料を保存する」という目的で1998年に開館しました。以来、2007年には経済産業省から「近代化産業遺産」の認定を受け、日本唯一の絹糸紡績資料館として、近代史研究者の来館や近隣の小学生の社会見学等で親しまれてまいりました。

現在準備しておりますシナノケンシ株式会社の本社圏再開発を機に、絹糸紡績資料館の展示品や資料を、この「蚕都上田」の地でさらに活用していただける道を探るべく地域での情報交換を始めております。

◆「蚕都上田」の位置づけ

上田地域(旧丸子町を含む)は、蚕種・養蚕・製糸・絹紡糸・上田紬織物、それらを学問的に支える信州大学繊維学部があり、シルク産業がすべて集まっているという珍しい産業史的背景を持っています。シルク産業の源にあたる蚕種業から、製糸業だけでなく絹糸紡績業、そして上田紬織物の文化まで、この上田地域のように互いに関係しながら息づいてきた例は全国でもほとんどありません。それゆえ「蚕都上田」で “絹(シルク)のつながり” の一環として、絹糸紡績資料館の資料も活かされることが望まれます。

◆8月の閉館と展示資料の活用へ

本社圏再開発計画の中で、当館の建物の移設や再建築は難しいため、絹糸紡績資料館は8月末をもって閉館することになりました。

ただし、開館に先立って日本絹紡協会から引き継いだ「本邦絹糸紡績史稿本」や絹糸紡績の技術関係の文献、全国に広がっていた絹糸紡績会社のデザイン的にも興味深い商標類、さらに産業史的に貴重な写真、絹紡糸製品や一連の工程仕掛品については、「蚕都上田」の地域として保存、活用、連携できるよう検討を進めております。

これまで当資料館にご来館いただいた皆様に心から感謝申し上げますとともに、閉館および「蚕都上田」としての地域での資料活用につきまして、何卒ご理解いただけますようお願い申し上げます。

シナノケンシ株式会社 総務本部 総務部 / 絹糸紡績資料館